夏の里山 伯耆大山    2017.07.31
ホームページ 里山倶楽部四国 
真夏の花園 伯耆大山 -

毎年、海の日の前後に日本アルプスに出かけていた。

しかし、今年は梅雨が明けたというのに天気が安定しない。

天気図には毎日雷マークが出ている。

グズグズしている間に今度は大型台風が迷走している。

これでは何時まで待っても登山日和にはならない。

大雨や雷雨の中での長時間歩きは避けなければならない。

ジッとしていても体がウズウズするので、お天気マークの付いている西日本の山にでも行こうかな。

以前良く登っていた伯備大山に出かけよう。

伯耆大山は日帰りでも登る事が出来るが、前泊してノンビリと登る事にする。

ネットで調べると、大山の麓に二食付きで3900円のホテルがある。

山の弁当お風呂入浴券付きで4600円と格安。

ネットでの評価も悪くない。

早速予約して出発。



瀬戸大橋を渡るのも久しぶり。

米子インターに近くなると目の前に伯備大山の姿が。

実は今回、楽しみにしていた事がある。

それは米子城を訪ねる事。

米子城は、吉川広家(きっかわひろいえ) が天正19年(1591年)に築城を開始した。

関ヶ原の戦いの後、城主の吉川氏は岩国に国替えされる。

慶長6年、伯耆国18万石の領主として 中村一忠が封せられ、慶長7年(1602年)ごろ、米子城は完成した。

慶長14年、中村氏は家系断絶の為改易され、加藤 貞泰が藩主となる。

加藤 貞泰が大洲藩に移された後米子藩は廃藩となる。

元和3年、伯耆・因幡が全て鳥取藩池田光政の所領となり、米子城は家老の池田由之が城代となる。

池田由之には蜂須賀家政の娘万が嫁いでいたが、慶長17年(1612年)備前岡山で早世、享年20であった。

翌年元和4年(1618年)由之が怨みにより大小姓の神戸平兵衛に刺殺された後、息子の由成が相続した。

その由成の弟が蜂須賀藩家老として忠英を補佐した池田玄虎だ。

米子インターを降りて米子駅から米子城に向かうと凄い混雑。

浴衣を着た若い娘さんが大勢歩いている。

駐車場を探すが全て満車。

なんと今夕は花火大会があるそうだ。

遠くから標高90mの湊山の城壁を見ながらホテルに向かう。



米子インターから大山道を少し大山に向かうと、丘の上に城のように聳えるホテル「シャトー・おだか」がある。

格安のホテルだが部屋は満室。

私達は14畳もある綺麗な部屋だった。

大浴場も少し温いが気持ちの良い湯だった。

夕食はバイキング。

宿泊者以外の親子が大勢順番待ちをしている。

なんと食べ放題、ソフトドリンク飲み放題で690円だった。

餃子などをつまみに生ビール二杯、その後は冷酒を飲んだら満腹で食事は蕎麦を食べる位しか出来なかった。

2歳までは無料、小学生までは190円と言う事で子供達が一杯。

良く来ているらしく小さな子供達も綺麗に食べて食後は食器を分別して返却していた。

このようにして省力化して、大勢が食べに来るとこんなに安く出来るのだなあと感心。

花火大会の音を聞きながら9時前に就寝。



朝起きると雲一つ無い快晴。

このホテルは応仁の乱頃に築城された尾高城(小鷹城)の跡地に建っている。

戦国時代には豪族行松正盛が居城したが、大永4年(1524年)尼子経久の伯備侵攻により吉田光倫が在番した。

その後毛利元就に属した行松正盛が再び城主となるが永禄7年に没する。

その後、毛利氏の家臣の杉原盛重が城主となった。

盛重は天正9年鳥取城が羽柴秀吉により攻め落とされた後病死する。

杉原氏滅亡後の尾髙城には吉川元春配下の吉田元重賀が城代となった。

関ヶ原の戦功により、駿河城主中村忠一が17万石で入封した。

中村忠一は、新たに米子城を築城したため尾髙城は廃城となる。

尼子氏の武将で「我に七難八苦を与え給え」と三日月に祈った山中鹿之助が当城の捕虜となり汲み取り口から脱出した事でも有名だ。

尾髙城は伯耆大山を背に、伯耆平野を一望にする場所に建っていた素晴らしい城だったと思われる。



ホテルから15分ほど走って、伯耆大山キャンプ場入り口の駐車場に駐車。

前回来た時は満車だったが今日は2/3位の駐車状況。

一木一石運動の小石を3個ザックに入れて行く。

凍らせたペットボトルの水を6本持参。



夏山登山口から出発。

7時44分。

標高は780m位。



なだらかな石段道を黙々と上っていく。

例年なら大勢の登山者がいるのだが今年は誰にも出会わない。

この夏山登山道は頂上まで約3キロ。

標高差は約920m。

普通なら2時間もあれば十分に登る事が出来るはずだが、最近では中々2時間では登る事が出来ない。

2009年には2時間4分。

2011年は2時間20分。

前回の大雪の時は2時間45分かかっている。

年を取る度に遅くなっているのは仕方が無い事だ。



大山にはクサアジサイとエゾアジサイが咲くそうだが、もう実になっているこのアジサイは?



木道となるとヌスビトハギが咲いている。



綺麗なブナの林となる。



段々と複雑な階段道となる。

それにしても登山者に出会わない。



もう実が出来ているヤマジノホトトギス。



濃い青色が目立つエゾアジサイとピンクが薄いように思うがクサアジサイだろう。



黙々と歩いているうちに3合目に着いた。

少し行くと標高1,100m。

此処まで50分。



オオカメノキの実かな。

クサアジサイが増えてくる。



ダイセンオトギリはもう終盤。



四合目 標高1,200m

気温が上がってきて喉が渇いてくる。

登山道脇にはヤマブキショウマが沢山咲いている。



気温は25.7度。

今日は暑くなりそうだ。



五合目到着。

山の神にお詣り。

何時もならこの辺に大勢の登山者がたむろしているのだが、今年は誰も居ない。



何時も見るノリウツギとは少し雰囲気が違うがやはりノリウツギだろう。



ヤマブキショウマと豊作のブナの実。



シモツケが満開。

シモツケソウに似ているが、葉っぱが長楕円形で葉先がやや尖り、葉縁のギザギザが目立つ。

シモツケソウは頂小葉が大きく、5つから7つに手のひら状に裂ける。

大山のホタルブクロは白色が多い。



行者谷別れを過ぎて少し登ると6合目の避難小屋に着く。

9時21分。

三鈷峰方向はガスが巻いている。



座って休憩したいが、日差しがジリジリと照りつけて暑い。

暑いと言うより熱く感じる。

少しの木陰は先着者が座っている。

仕方が無いので少し上まで登って木陰を見つけて休憩。

凍らせたスポーツドリンクが少し溶けてきて美味しい。



エゾアジサイの濃い青色の花は独特の色合いだ。



ノアザミも咲いている。

ナンゴククガイソウが色付き始めている。



シモツケソウの蕾。

シモツケとの違いがよくわかる葉。



7合目まではまだ樹木の中。



樹木が低くなって見晴らしが良くなると標高1,500m。



岩場に来るとエゾアジサイが満開。



白い花はノリウツギかなとも思うが?

シモツケソウとナンゴククガイソウの花園。



キュウシュウコゴメグサは可愛い。



イヨフウロが見受けられるようになる。

ナンゴククガイソウも綺麗に色付いている。



シシウドとシモツケソウ



咲き始めのシモツケソウは本当に綺麗だ。

特徴の手のひら状に裂けた葉が良く解る。



白いホタルブクロが涼しそうだ。



稜線がガスの間に覗いている。

イワアカバナの白花かな。



ダイセンオトギリとダイモンジソウ



ミヤマホツツジ

ホツツジと違って雄しべが上に曲がっていて象さんの鼻のよう。



イヨフウロは血脈のような赤い筋が細かい。



シモツケソウが段々に増えてくる。

真夏に登ったのは初めてだが、こんなに沢山の花が咲いているとは思わなかった。



雲が上がって青空が見えだした。



本当に綺麗だ。

いくら見ても見飽きない。



ホソバシュロソウとダイモンジソウ。



キュウシュウコゴメグサとタカトウダイ?



ホソバノヤマハハコとカラマツソウ



ノアザミの群生



エゾアジサイの花に見ほれる。



木道分岐まで来るとオオバギボウシが丁度花の盛り。



ダイセンキャラボクにはまだ赤い実はなっておらず、木道脇にはイヨフウロが咲き乱れている。



エゾノヨロイグサが群生している。



山頂小屋が見えてきた。



山小屋脇にはオオバギボウシの花が多い。



大山頂上着。

10時47分。

丁度3時間ほどかかった。

余り疲れてはいないのに時間がかかったのは、余りに沢山の花が咲いていたからかなあ。



稜線にはガスが巻いてきて見晴らしが悪くなる。



頂上のテラスに座って休憩。

何時もなら風が吹いて寒い程でジャケットを着たりするのだが、今日は鉄板焼き状態。

凍らせた水も少なくなってきたが、まだ冷たくて生き返る。

食事をするには少し早いのと暑くて食欲が無くて、行動食のジャムパンを食べたら余計に喉が渇いてきた。

到着する登山者を見ると暑さに参っている人が多い。

休憩していても暑くて逆に疲れてくる。

皆さん、暑い暑いと言いながら直ぐに下山を始める。

早々に下山開始する。

忘れる所だった。

担いできた石を山小屋横に置く。



山小屋に入ると涼しい。

でも早く風呂に入ってキンキンに冷えた水が飲みたい。



カラマツソウの中の蕾?は何だろうか。



咲き誇る花々を見ながら下っていく。



サワフタギに小さな実が出来ている。

秋になると綺麗なコバルトブルーの実が沢山出来る事だろう。



ナンゴククガイソウの花園の中を下っていく。



ミヤマイボタの花が咲き残っている。



徳島で見るノリウツギとは少し違うのだけれど。




シモツケソウの花を目に焼き付けておく。



エゾアジサイとダイモンジソウ



名残惜しくて中々下山できない。



ミヤマトウバナ



ヤマジノホトトギス。



今頃になって大勢の人が登ってきた。

気温は25.7度だが風が無くて熱気がよどんでいる。

小さな子供達も登ってきているが、やはり暑さが応えているようだ。

春とか秋には親たちよりも元気に登ってきていたが、今日は這うようにして登っている。

リョウブの花が咲き始めている。

6合目から少し下った所でへばっているパーティが二組程居た。

登山に慣れない人には、この暑さは堪らないだろう。



五合目を過ぎたあたりから暑さが効いてきた。

座って水ばかり飲むようになる。

お腹がすいてきたような気がするが食欲が無い。

座って目の前を見るとヤブコウジの花が咲いていた。

もう赤い実も出来ていた。

秋が近い事を感じる。



最後のダラダラ坂を下る頃には水も無くなって、頭がカッカして熱中症気味。

13時44分 登山口着。

下山にも2時間30分程かかった。

駐車場には自販機も無い。

車のクーラボックスに入れていたスポーツドリンクがまだ微かに冷たかった。

一本飲み干してしまう。



お腹がすいているような気がしてお弁当を開けるが、食欲が無い。

ホテルで入湯券を貰っていた「大山火の神岳温泉 豪円湯院」に向かう。

立派な日帰り温泉設備で入湯料も格安の380円。

厳かな感じの神の湯と露天風呂がある。

一寸ぬるめだが気持ちの良い湯で疲れを癒やす。

湯を出てからお腹がすいているのに気が付いた。

ざる蕎麦が300円。

安くて量が多い。

他の人はでっかいソフトクリームを食べている。

食べたかったが少し大きすぎる。

小さめの牛乳アイスで我慢する。

此処では地下1,200mの源泉で作った豆腐などが名物らしい。

帰ってから知ったが買って帰れば良かった。



帰りは何処にも寄らずに高速をひたすら走って6時半には自宅に着いた。

途中、総社の辺りで大雨となって雷が何度も落ちた。

凄い雷光が地面から雲に向かって昇る。

車には落ちないだろうと思っても気持ちが悪かった。

帰って一番に、我慢していたビールを一気飲み。

つまみはトチノキまんじゅう。

体中が火照っている。

クーラーを効かせて眠ったら朝は気持ちよく起きる事が出来た。

とりあえず夏の遠征山歩きは出来たが日本アルプスにも行きたい。

台風の進路が気になる。





総歩行距離 6.5㎞

累計標高差 ±1,099m

総行動時間 6時間14分


 


↑ クリック
ホームページにも是非お立ち寄りください