冬の里山 箸蔵街道 2007/12/1
         

− 箸蔵街道 財田駅 〜 金比羅奥の院箸蔵寺 −

今日から12月。

スーパー林道などは通行止めで来年の春まで通ることが出来ない。

いよいよ里山シーズン到来。

今日の天気予報は晴れ時々曇り。

久しぶりに箸蔵寺の紅葉でも見に行こうかと出発。

鳴池線(撫養街道)から右に曲がり32号線を少し登ると箸蔵駅がある。

最初の計画ではロープウェイ駅に車を停めて箸蔵駅からJRで讃岐財田駅まで行き

財田駅から箸蔵街道を箸蔵寺へと縦走する予定だった。

しかしJRの出発時間までまだ1時間程有る。

財田駅まで車で行き、箸蔵街道をピストンしようとの家内の提案に渋々従うことにする。

(何しろ最近の家内の歩きに長距離付いていくのは一寸キツくなっている)



財田駅に7時45分着。

駅のトイレをお借りしようとしたら高校生が大掃除の最中。ご苦労様。

道の駅で済ましてくれば良かった。

7時48分出発。

標高150m

金刀比羅宮まで9.9q 二軒茶屋まで6qの道標。

讃岐と阿波の間には讃岐山脈が東西に走り、かつては阿波十三越と呼ばれる峠道だけが交通路でした。

これらは塩の道でもあり、瀬戸内からの物資が流通した交易ルートでもあります。

その讃岐山脈を越える峠道のひとつ、箸蔵街道。

かつては讃岐のこんぴらさんと、阿波の箸蔵寺を結ぶ信仰の道として栄えた旧街道です。

この街道の讃岐財田から箸蔵山下山口までの13.9KMは豊かな自然と、茶屋や街道筋の集落跡、石仏群、それに金比羅宮の奥の院、箸蔵寺など、

みどころたっぷりの、峠越えの1日トレッキングを楽しめるコースです。



ヒメツルソバやホトケノザが満開。



線路に沿っていくと箸蔵寺まで11.2qの看板。

箸蔵寺へは此処から踏切を渡っていく。

金比羅さんへはこの道標から左へと降りていく。

金比羅さんへは9.7q。

農家の向こうにこれから登る山並みが見える。



農道を登りきると用水池があるが干上がっている。

振り返ると竜王山421mの山並みが見える。

百丁石に8時2分着。

此処から箸蔵寺までは約11q。



百丁石は萬延元年1860)、奥州栃窪村(現 福島県鹿島町)の住人によって

寄進されたもの。




前回来た時は大雨の影響で大崩壊し、看板の後ろまで土砂で埋まっていた。

見違える様に綺麗に修復されている。

新しく車止めの柵が作られていた。

こんな所に何故車止めがと思うが、この街道はマウンテンバイクが良く走っていたことを思い出す。

いつぞやはトゲの様なスパイクタイヤを履いた中型オートバイまで走っていた。

その為道はえぐられ雨の後などは轍が掘れてとても歩きにくかった。

以前半崩壊していた道も補修され立派な木の手すりができている。



なだらかな道だが、予想通り家内のペースに付いていくのが苦しい。

一寸足を緩めると置いて行かれてしまう。

どっと汗が噴き出す。

コナラの黄葉が美しい。



8時26分林道工事現場に到着。

この林道は、以前やっと途中まで完成したと思ったら、予算不足で工事続行中止。

通行止めになりおまけにその後の土砂崩れで作ったばかりの道路が土砂で埋もれていた。



また工事を始めたらしい。

此処にも車止めが設置されている。

そのまま山道を登る。



やっと第一のベンチ到着。

堪らず座り込む。

8時30分。

早くも道路工事の重機が動き出し岩を削っている。

山をざっくり削り道を通そうとして居るみたいだが、また大雨が降れば崩れてしまうのでは?



北を見れば城山、猫山、大高見峰へと続く山並み。

讃岐の里山を眺めるのも久しぶり。



家内にせかされ腰を上げる。

ヤマウルシの紅葉が美しい。



第二のベンチを横目に見て進むと、私達の一番好きな場所。

天国への道と名付けた水平な尾根道に来る。

深い落ち葉を踏みしめて歩くと最高な気分。



9時丁度展望台に着く。

稲積山の向こうに燧灘が霞んで見える。



その右の方には我拝師山。

更に右には讃岐富士の端正な姿。



景色を見ただけで出発。

変な実が落ちているが何だろう?

調べてみるとヤブツバキの実の弾けたあとらしい。



ツルリンドウの実が山肌に一杯。

新しい若葉も芽吹いている。



六十八丁の丁石を過ぎてまた素晴らしい尾根道を行く。



阿讃の峠を越える旅の安全を祈願して祀られたこの薬師如来像には

「薬師 天保十五年辰二月吉日」と刻まれている



石仏の峠に9時27分着。

此処が標高約750m

標高差600mを登ってきたことになる。

此処から左へと行くと阿讃山脈の縦走コース。

東山峠まで8q。大川山まで約15q。

綺麗な道標が出来ていた。



峠で行動食タイム。



石地蔵様もお詣りする。

此処から箸蔵寺まで7.1q。



急坂を下る。

此処は以前はマウンテンバイクの轍などで深くエグレテ歩きにくかった。

今は綺麗な道に改修されている。

ドンドン下り竹林が見えてくると二軒茶屋は近い。



シロモジの黄葉がまだ残っている。

9時58分、二軒茶屋到着。

ずっと閉まったままだった老夫婦が20年前まで住んでいた小屋のトイレが開いていた。

綺麗に掃除されてトイレットペーパーまで備えられていた。

財田駅でトイレが出来なかったので、ずっと我慢していたが助かった。



いつもの作業小屋の叔父さんは留守。

最近来ていないのかな?病気でも?

此処から箸蔵寺まで四十九丁。5.4q。



椅子に座ってコーヒーブレイク。

それにしても今日は誰にも会わないなあ..



菜園は綺麗に管理されているので安心する。

しばらく行くと採石場の立ち入り禁止の看板。

このすぐ下まで採石場が延びてきているのか?

その内この山全体を崩してしまうのでは?



イボ地蔵(此処から猪ノ鼻峠に降りることが出来る)の分岐を過ぎてドンドン行く。

シロモジの紅葉が美しい。



ヤマハゼもまだ紅葉している。

林道分岐に到着。

10時29分。

前回は此処で迷子の柴犬に出会った。



ススキの向こうに国見山

フユイチゴの実が一杯。



馬除の廃屋まで来るとゴミが綺麗に片づけられていた。

昔、この街道は阿波から讃岐への主要な道で、

農繁期には借耕牛(かりこうし)と呼ばれる農耕牛がこの道を通って讃岐に来ていたそうです。

途中、馬を休めたと言われるのが「馬除(うまよけ)」部落です。


ゲンノショウコの咲き残り。



真下を見ると採石工場

コウヤボウキのピンクの綿毛。



落ち葉のふかふかした参拝道を下る。

讃州タバコ問屋阿波屋の道標通過。



今日初めて登山者と出会う。

おじいちゃんと孫の女の子と男の子。

「おじいちゃん後何q?」と男の子が聞いている。

「後7.5qだよ」

あれっ!財田駅まで歩くみたい..

頑張って..



コンクリート道の手前で左に入り箸蔵寺奥の院に向かう。

そのまま行くとロープウェイ駅。

道が以前より荒れている。



一升水通過。

11時27分ミニ八十八カ所



モミジの黄葉が真っ盛り。



太子堂には大勢のお遍路さん。



四季桜が満開。



四季桜とモミジの紅葉



立派な銀杏の樹は殆ど葉を落としていた。



金比羅大権現を祀ってある八棟造りの美しい箸蔵寺本殿



素晴らしい本殿に改めて見入ってしまう。



明治10年に奉納された天狗の額。

この山は昔天狗が住んでいたとの言い伝えがあるらしい。






本堂前の休憩所で食事をしていたら、急に雨が降ってきた。

一時土砂降りになる。

このまま箸蔵駅まで降りてJRで帰ろうと提案するが却下。

12時丁度、元来た道を帰ることにする。



雨は止んだが若狭峰はガスの中。

馬除を過ぎた所で軽四が狭い道を下った来る。

がっしりと下男性が「箸蔵寺までの道で白い軽四が止まっているのを見なかったか」と聞く。

見なかったというと、

軽四でこの辺まで来た人が何とか家まで帰ってきたが、車はこの辺に置きっぱなしで探しているとか。

もし見かけたら警察まで連絡してくれと言われた。

何か事件かな?

それにしてもクルマを置きっぱなしで家に帰るって??



13時24分、二軒茶屋でコーヒーブレイクをしていると突然アラレが降ってきた。

一旦止んだので急いで帰っているとまたすごい勢いで降ってきた。

合羽を着る暇もないのでポンチョを被り地蔵峠までの急坂を駆け上る。



帽子の上からもショックを感じる程の大粒のアラレ。

あっと言う間に道に積もる。

地蔵の峠では周りは真っ白。

視界は5m程。

先ほどのおじいちゃんと孫の三人連れは大丈夫かな?



ガンガン下って行くと展望台の辺りでアラレが止んだ。

見る見る視界が回復してくる。



我拝師山や火上山が陽の光を浴びて輝いて見えた。

奥の院も光っている。



15時16分登山口着。

駅へと向かうと丁度特急列車が通り過ぎた。



一杯の赤い実は何だろう?

15時33分財田駅着。

約24q トータルタイム約7時間45分

帰りに道の駅で温かい珈琲を購入。

お寿司や総菜がとても安いので夕食用に購入。更に半額にしてくれた。

帰って食べるととても美味しい。

また帰りに買うことにしよう。

久しぶりに歩いた箸蔵街道。

讃岐のおむすび里山を眺めることも出来た。

これから冬になると里山歩きが増えそう。