春の里山 慈眼寺 灌頂ヶ滝   2014/03/12
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 おひな様の奥座敷 坂本から 鶴林寺奥の院 慈眼寺へ -

今日は暖かくて良い天気の予報。

ノンビリと里山歩きを楽しみたいなあ。

そう言えば、先日行った鶴林寺の奥の院慈眼寺へ坂本から旧参道経由で歩くことが出来るらしい。

坂本は丁度おひな様の奥座敷が催されている。

森本家のおひな様にもお会いしたいなあ。




佐那河内に入るとユキワリイチゲやタチツボスミレが朝日を浴びて見事に咲いている。



咲き始めた前松堂のエドヒガンを見ながら坂本へと入って行く。

ミカン娘が出迎えてくれる。



何処に駐車して歩こうかなと思ったが、やはりふれあいの里坂本に駐車する。

遍路道の地図を頂いて出発。

10時55分。



まずは坂本八幡神社にお参り。

春や秋に、川を渡らないで七社七鳥居詣りすると中風にならないという。

この神社はこの条件を満たす希な神社らしい。



道路脇には例年のようにおひな様が飾られている。



毎年、大根と蕪のおひな様があるが、この大根や蕪は毎年新しく植えているのだろうか?



横瀬小学校生のおひな様の絵とソチ冬季五輪のおひな様



徳島銀行のおひな様コーナーから慈眼寺への旧参道が始まっている。

かせ山トレッキングコースにも行くことが出来るらしい。

去年キウイを沢山頂いたお婆ちゃんに挨拶してからセメント道を登って行く。

慈眼寺までは4.4㎞。



セメント道から直ぐに山道となる。



しばらく歩くと、かせ山との分岐に着く。

かせ山のトレッキングコースは最近整備されたと新聞で読んだことがある。

左を振り仰ぐとゴツゴツした山が見える。

あれが、かせ山だろう。



民家の前でお婆ちゃんが畑仕事をしている。

かせ山は厳しそうですねと言うと、「ミカンを作っていた山だからそうきつくは無いよ」と言っていた。



二六丁の丁石がある。

約三キロかな。

今年初めてのムラサキケマンが咲いていた。



コンクリートの農道から右へと山道に入る。

お遍路さんの男性が追い抜いていった。



所々道の傷んだところには鉄製の立派な橋が架かっている。

見晴らしの良いところからは雰囲気の良い山村の風景が見える。



お地蔵さんが新しいお堂に祀られている。

石垣が何段にも作られている。

昔は畑か住居があったのだろう。



道は細いがコンクリートで固められていて歩きやすい。

見事な梅林の中を進む。



また広い農道に出る。

人家があるが住んでいるかどうかは解らない。



お地蔵さんや石仏が集められている。

道を整備した時に道端にあった物を集めたのだろう。

なかには「奥の院」と刻まれた道標もある。

キワダの標識があるが「黄檗」の事だろう。

黄檗(キハダ)とは春になると黄色いソロバンの珠のような実を沢山ぶら下げる木のことだが?



目の前に見える山は高鉾山

突然広い車道に出る。



いやしのみち2.7㎞慈眼寺の標識

何故こんな所にこんな立派な車道が?



車道から右へと入って行く。



山道を登っていくとお遍路さん休憩所がある。



中は電灯もあって数人なら寝ることも出来る様だ。

綺麗に掃除されている。

何故か脱穀機が置いてある。



角屋旅館の提灯も?

外には水道が有り、壊れてはいるが水栓をひねると勢いよく水が出た。



避難小屋からは少し急な道となる。

壊れた小屋がある。



遍路道の横には整然と積まれた石垣が続く。



大岩が有り参拝路は大岩がくりぬかれている。

山肌から水が勢いよく吹き出している。

水が多い参道だ。



水が勢いよく流れ込んでいる水槽と側には何故か五右衛門風呂か゜おちている。



今日初めての急坂を登っていく。



何人かが雨宿りできそうな大岩もある。



車道に飛び出した。

この車道は大川原高原から上勝へと下りる時に何時も通る車道だ。



まずは右へと慈眼寺に向かう。

1,300mと書いてある。

車道脇にはナガバノタチツボスミレが綺麗に咲いている。



関ヶ谷川に掛かる橋を渡ると慈眼寺はもうすぐ。



フキノトウが一杯。



12時37分 慈眼寺に着いた。

四国霊場開創1,200年の幟が沢山立っている。

参拝路観完成記念碑があるが?



六地蔵や西国33番札所の観音像が並んでいる。



境内には誰も居ない。

静かだ。


慈眼寺は高野山真言宗に属し、山号を月頂山、院号を宝珠院と称されている。



太子堂で、お賽銭を奮発してお詣り。

ご本尊は十一面観音(じゅういちめんかんのん)



慈眼寺は穴禅定
(あなぜんじょう) が有名。

延暦年間(西暦782年~805年)、弘法大師が19才のとき、不思議な鍾乳洞を発見したといわれている。

男性の遍路から穴禅定に一緒に入りませんかと誘われる。

しかし、穴禅定は狭い。

お寺の案内所には穴禅定の修行が出来ない人として

1.太っている人、体が大きい人と書いてある。

しかも

体験の石柱を通れない人は穴禅定は通れない、ギリギリ通れても足や腰が痛い人は無理かもしれない。

とも書いてある。

メタボの私は、試しに体験の石柱を通るとお腹がつかえるが何とかギリギリすり抜けることは出来る。

しかし、腰や足に難がある私には無理かもしれない。


途中で身動きが出来なくなり、にっちもさっちもいかなくなると大変だ。


申し訳ないけどお断りする。

(私より体の大きなおじょもさんは無事通り抜けることが出来たそうだ。体が柔らかいのかな?)



11面観音の石像を潜って本堂に向かう。

参道脇にはミニ八十八カ所の石仏が祀ってある。



参拝路はコンクリートで舗装されていて歩きやすいが可成りの急傾斜。



弘法大師の石像からは上勝の山々を見渡すことが出来る。



壱丁の丁石がある。



32番札所 禅師峰寺では11面観音像と弘法大師像が祀られている。

観音石像から14分で大きな岩の下に小屋のあるところに付いた。



まずは本堂 大悲殿をお詣りする。

大悲殿とは大慈大悲の観世音菩薩の居られる殿堂のこと。

何故大慈堂としないのかというと慈しみの心は大悲から来るからとのこと。

大非とは人々の悲しみを汲み取って、何とかしてあげたいと云う慈しみの心

大悲が無い処には大きな慈悲が湧いて来ないと言う。

本堂の周りを三周する。



穴禅定へと登る両脇に小屋が有り着替えなどが出来る様になっている。

その手前に44番の石像が祀られている。



岩の下が洞窟のような感じになっていて石仏が祀られている。

此処で順番待ちなどするのかな?



清水が湧いていて喉を潤す。

とても美味しい水だ。



左上に穴禅定に続く階段がある。

その下を通過して進む。

それにしても凄い規模で石灰岩の岩が露出している。

徳島を東西に貫く秩父帯にあり、古生代ペルム紀(約2億5千万年前)に形成された大きな石灰岩の露岩地となっている。

穴禅定は、その南西壁面にある 細長い亀裂型の鐘乳洞だ。



45番からのミニ札所が続く。

やはり石仏と弘法大師像がセットで祀られている。



足下が滑りやすく注意して下って行く。

シキビが祀られていて信仰が忘れられていないことが解る。



賽の河原のような所もある。



見上げると石灰岩の岩山が迫力ある。

少し離れた場所に高野山と書かれた石像が祀られている。

ミニ八十八カ所をお詣りした後で高野山にもお詣りするのだろう。



工事中の車道と駐車場に出る。



駐車場の上には何かを建設するのか岩が削られて台地になっているところがある。






花山院も祀られている。



88番まで下りてくるとそこは上の駐車場だった。



太子堂まで帰ってくるとお詣りの人でごった返している。

皆さんこれから穴禅定に向かわれるようだ。

先ほどの単独のお遍路さんから、やっと仲間が出来たので行ってきますと声を掛けられる。



バスが二台停まっていた。

他にも次々と自家用車がやってくる。

大変人気のあるお寺のようだ。

明るい土手に腰を掛けて昼食。

昼食後いやしの道の看板から下りて行こうとしたが、鉄条網が張ってあり下りることが出来ない?

不思議だなあ。



13時56分 車道を引き返す。

坂本への分岐を過ぎて灌頂ヶ滝を目指して下って行く。

途中、山道が上へと延びているがこれがいやしの道かな?

どうも違うらしい。



不動の瀧と刻まれた石柱が有りその横にお地蔵様(三界萬霊塔)が建っている。

此処は上勝町正木と坂本との町境になる。

山越えして慈眼寺などに行く人が此処でお地蔵様を拝んだのだろう。

拝所と言うらしい。

説明板がある。



お地蔵さんの横からいやしの道が慈眼寺に向かっている。

立派に整備された道のようだが、何故慈眼寺側に入り口が無いのだろうか。



しばらく車道を行くとまたいやしの道の看板があるので山道に入ってみる。

急坂の道は所々落石が転がっていて歩きにくい。

下に車道が見えた時、浮き石を踏むと大きな石が崩れ落ちて車道まで転がっていった。

私は危うく飛び移って何事も無かったが、もう少しで石と一緒に落ちるところだった。



車道に出るとまたいやしの道の標識がある。

この道は県道のようだが何時整備されたのだろうか。

また崩れたら嫌なので車道を行くことにする。



綺麗な瀧が流れ落ちているがこれが不動の瀧だろうか?

どうも違うようだ。



足の裏が痛くなった頃、灌頂ヶ滝に着く。

14時41分



灌頂ヶ滝はそこそこの水量が有り勇壮に流れ落ちている。



灌頂ヶ滝を見上げる。

スケールが大きい。



滝壺の少し上には見事な虹が出来ている。

灌頂ヶ滝は、午前中に虹を見ることが出来ると聞いていたが今まで見えたことが無かった。

まさか夕方に虹を見ることが出来るとは思わなかった。

ラッキー



七色の虹が輝いて見える。



見上げていると、風が吹く度に飛沫が舞って顔に掛かる。

見上げると凄い迫力だ。







飛沫が舞う度に虹の位置や色合いが変わり見とれる。



風に吹かれて飛沫が広がった瞬間に大きな虹となる。





覚鑁(興教大師)作と伝わる不動明王の前の桜の蕾が綻び始めていた。

もう少しすると見事に咲くことだろう。



見事に出来た虹




お不動さんから階段を使わずに下りる道はコンクリートで舗装されて歩きやすくなっていた。

平成23年に舗装されたらしい。



車道を上勝町に向けて下っていく。

「上勝アートプロジェクト」の作品の一つ「淵神の塔」が設置されていた。



車で通る時何時も見かける標識を過ぎる。



此処にもいやしの道の標識が有り雄淵、雌淵の案内板がある。



下を見ると雌淵のグリーンの淵が美しい。



関ヶ谷川に掛かる杉谷橋を左へと渡る。

この辺の標識は歩いて慈眼寺に行くのには解りにくいかも。



こんな所にも標識がある。

石仏の表面は風化していて古さを感じる。

標識を見るといやしの道を歩きたくなる。

上勝町役場に確認すると、拝所から慈眼寺の間で崩壊地が有るとのこと。

慈眼寺からいやしの道を下りないようにお寺が有刺鉄線を張ったらしい。

しかし、拝所から登るところは通行止めとはなっていない。

歩き遍路がこの道を上がっていって最後に慈眼寺の手前で道が無くなっていたら困ることだろう。

せっかくのいやしの道なので車道を歩かなくても良いように崩壊地の修繕をお願いする。

また、慈眼寺のいやしの道入り口と拝所に通行止めの看板を設置する等の配慮をお願いした。



杉谷橋からはまた登り道となる。

梅の花が見事に咲いている。



エッチラオッチラ車道を上っていく。

足の裏が痛くなってきた。

この道は坂本方向から車で慈眼寺に向かう車道となっているようだ。



やっと登り切ると朝通った山道との分岐に着いた。



車道から右に分岐して、かせ山を見ながら朝来た道を下って行く。



同じ道を下るのはつまらないのでキワダの標識から右に曲がる。



農道が縦横に走っていて道が良く解らないが適当に車道を目指す。

車道に出て進むが車道脇には慈眼寺への標識が彼方此方に有る。

登って行く人にはわかりやすいが下って行く時は参拝路の入り口が解らずクネクネと車道を下っていく。



黄檗の集落に着き新坂本トンネルからの道に合流

それにしても黄檗とは元々キハダと読みミカン科の植物のことだ。

おうばくと読む場合はキハダから採れる生薬のことだ。

昔、この村落ではキハダから生薬を採っていたのだろうか。



何時も車を停めるところのオート三輪の販売所から森本家に向かう。



16時40分 森本家着。

17時まで開いているのでギリギリセーフ

今年も庭でおひな様が仲良く遊んでいた。



仕舞支度をしていた奥様が案内してくれる。

この山村農家の人形と一家団欒ひな人形は地元の横瀬の松田高代さんが作られたらしい。

なんとも表情豊かな人形だ事。

お婆ちゃんの家族に対する愛情が感じられる。



今年も平安絵巻のようなひな人形が沢山飾られている。



毎年新しいひな人形が飾られているのには感心する。



珍しい遊山箱も

お酒を入れた遊山箱は我が家にもあったような?

子供の頃はこの遊山箱に水ようかんや緑やピンクの寒天ゼリーなどを入れて花見に出かけた記憶がある。

水ようかんかなどが固まる前に盗み食いしてよく叱られた。



内庭でもおひな様が楽しそう。



離れには例年のように投扇興などの遊びに興じている人形達。



阿波しじら織りの着物を着たおひな様達



江戸時代のおひな様は珍しいらしい。

お顔が上品だ。



たのしいひなまつりの歌はサトウハチロー作詞・河村光陽作曲

サトウハチローが大好きだった姉・喜美は、嫁入り目前に結核のため、19歳という若さでこの世を去った。

一年に一度訪れる桃の節句、サトウハチロウの胸に姉の思い出がよみがえったのではないだろうか。

そのお姉さんの面影をひな人形にみて「お嫁にいらした 姉様によくにた官女の 白い顔」と

実際には嫁に行くことの出来なかったお姉様を偲んでいるようだ。

また、この歌を歌ってヒットさせたのは作曲者 河村光陽の長女 河村順子だ。

昔の歌は何故か私の心に響いて優しくも切なくなる。




夕暮れのお雛街道を歩いて駐車場に帰る。



毎年見に来る度に気持ちが優しくなって飽きない。



これだけのおひな様をそれぞれの家が個人で保存するのは大変だろうなあ。



足の痛みを何時の間にか忘れてしまっていた。



17時19分 駐車場所に着く。

次々とお遍路さんがやってくる。

今夜は此処でお泊まりかな?




軌跡が乱れたり途切れたりして総歩行距離は正確にはわかりませんが、18㎞程度だと思われます。

累計標高差は±630m位

総歩行数は28,850歩




里山倶楽部四国編 

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