黒笠山 1703m  2004/11/28
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− やっと登った、あこがれの黒笠山 − 


以前から、気にかかっている山の一つに黒笠山がある。

阿波のマッターホルンと言われ、非常に厳しい山らしい。

また、その魅力に惹かれ多くの岳人が登っているらしい。

以前、黒笠山から縦走してきた人に、矢筈山で出会ったが「死ぬかと思った」と言っていた。

私達軟弱夫婦には無理だと諦めていた。

しかし、REIKOさんが登ったとのレポートを拝見した。

家内に相談すると「私達には無理!と即却下。

どうも頂上直下の岩に恐れをなしているようだ。

私は、岩よりも標高差1000mあまりの厳しい登りに、根性と膝が耐えられるか心配だ。

結局、撤退アリの条件で出かけることにした。

早朝5時30分に出発。

今朝は、星は全く見えない。

峰山の上に、怪しい雲の間から月が顔を出している。





貞光から一宇村を過ぎたあたりで、小島峠への林道に入る。

明谷川に沿って進む。
小さなダムや、小学校の脇を抜けていくと、白井の集落の下の分岐に着く。

車を停める所もないし、登山口の看板もないので少しそのまま進むと、
道路へ土砂が大量に崩れていて通行止め。

引き返し、細いコンクリート道へ入り、奥へ行く。



行き止まりに駐車スペースがあったので、じゃまにならないように奥に停める。

7時20分着。

横に渓流が流れていて、透き通った流れが美しい。

単独行や、初心者は自粛しください。
険しい山道が続きます。転落に注意して安全第一の登山を!

登山口の看板には他にも色々書いてある。

益々不安が募ってくる。

農家の左から上がっていく。7時35分。標高660m位。





渓流沿いの道を登って行き赤い橋を渡る。

その先に、左に農家の庭へ上がるような道と、また赤い橋を渡り、右の農家の脇を抜けていく道がある。

迷ったが、橋を渡り右の農家の脇を登っていく。

前からジャージ姿のお兄さんが下りてきたので、「黒笠山はこの道で間違いないですか?」

とお訪ねしたら「黒笠山は左じゃ。こんな所で道を間違うようだと遭難するぞ!」



あわてて引き返し、先ほどの農家の家先への道を上がる。
沢山の花を作って居られるが殆ど、花期が終わっている。

農家の前を右に巻くと立派な看板がある。
何故下の分岐に立ててくれないの?



登り初めから、きつい傾斜が続く。

家内は快調にとばすが、私は早くもふくらはぎがパンパンに張ってきて、追いつくのが必死。

途中から石積みの階段になり、やっと楽になる。
立派な石垣の上に、田圃の跡と脱穀機の残る廃家がある。
まだしっかりしていて、ついこの間まで住んでいたような気配が残っている。



その奥の藁葺きの農家はすでに朽ち果てている。




黒笠山まで3.0kmの看板を左に行く。

3kmって以外に近いのではないかい??

一寸待って、3kmで900m近い標高差だとすると、1000mで300mほど登るの??

いったい平均傾斜角度は何度?



やっと黒笠神社の鳥居に着く。8時10分。

直ぐ上にお堂がある。本殿まで上がれない人が、参詣する為にあるのだろう。
(泉保さんは、ここを黒笠神社と言っている。上の神社は奥の院か?)

水場があり獅子脅しが設置されている。
冷たい水で顔を洗い一休憩。

このあたりは竹林が綺麗だ。



薄暗い植林された樹木帯を行くと、また立派な石垣がいくつか現れる。

石垣の前の道は傾斜が緩く一息を付く。

上から男性が一人下りてきた。

もうすでに登って下りてきたらしい。

いったい何時に登り始めたのだろう?



黒笠山へ2kmの看板を過ぎてしばらく行くと自然林に変わる。

すでに殆と葉が落ちているので、明るい山道となる。

ふと見上げると黒笠山の頂上らしきものが顔を出している。

直ぐそばのように見える。



快適な自然林の中を行くと、REIKOさんが熊と間違えた倒木に出会う。

ほんと熊によく似ている。



沢を横切ると、石積みされた広場に出る。

とても気持ちの良い場所なので、また休憩とコーヒーブレイク。

昔は何があった場所なのかなあ?



少し行くと1.0kmの看板。
ここらから傾斜がきつくなる。

手を付いたり木を掴む回数が増えてくる。

此処より急だという頂上直下の坂が怖くなる。



幾度か沢をわたり、疲れ切ってこれ以上登るのは嫌だと思い出した頃、やっと黒笠神社につく。
9時30分。

誰もいない。ひょうきんな顔のお地蔵さんが祀られている。

神社の上の日だまりで大休憩。

帽子を取ると汗で濡れた帽子が、霜が着いたようになっている。

大気はやはり氷点下なのだろう。



急坂の恐怖におびえながら、少し踏ん張ると以外にかんたんに尾根にたどり着く。

此処からは笹の中を歩くが、快適な道だ。



樹木の間から、剣山、次郎笈が顔を見せてくれる。
少しガスってはいるが、端正な姿が美しい。

20分ほどで矢筈山分岐に着く。

急坂というのは何処へ?
あまりにも急坂を想像して、身構え過ぎていたのかなあ?



分岐から少し下って頂上を目指す。

黒笠山の頂上が樹木の間から見える。本当に尖っている。

大きな平たい岩に出る。岩の上に立って展望すると目がくらむ。

右下に大きく立派な、お塔石が見える。

その向こうにはサガリハゲから矢筈山そして落合峠に続く山並みが美しい。

矢筈山の山頂は少しガスがかかっている。



             サガリハゲ             矢筈山    写真の右端から矢筈山への縦走路となる。



急な山道を一人下りてきた。
矢筈から縦走してきて帰る所だそうだ。

矢筈のてっぺんから黒笠山まで2時間はかからなかったとのこと。

折り畳みの傘を握りしめていたのは何故かなあ?

最後の2mばかりの岩を登る。

恐がりの二人はちょっぴり怖かった。



10時30分頂上着。
誰もいない。

景色を堪能してから昼食にする。



左、高城山から雲早山がぼんやり見えている。
右は剣山、次郎笈。



左は三嶺。右は天狗塚。



三嶺、天狗塚の手前に、滝下の天狗塚がくっきりと見える。

泉保さんのレポートを思い出す。



左、津志嶽へと続く山並み。 右は矢筈山系



山頂の南側に小島峠への登山道が下りている。

昼食を楽しんでいると、若い男性が一人登ってきた。

鳴門から来られたとのこと。

昼食を食べて直ぐに下りていった。

(讃岐富士さんから情報をいただいて、この方が「徳島を中心とした山行..」で有名なSAIさんで、あることを知りました。
サイトへおじゃまして当日のタイムを見てみると、黒笠山へ126分で登りその後津志嶽へ周回して帰られたとのこと。
すごい脚力ですね。もう少しお話をお聞きしておけば良かった)

入れ違いに、ご夫婦と娘さんの三人連れが上がってきて、三角点で豪華な昼食を始められた。

2時間半で登ったとのこと。私達にはムリ!

牛の背のTAKAさんルートとか、色々な所を登られているようだ。

エントツ山さんのHPを始め、色々なサイトを覗かれているとかで、家内のことも知っているようだった。

また、是非とも掲示板によりいただくようお願いして、早々に下山を開始する。

11時30分。

気持ちの良い登山道を、ひたすら下りていく。

途中で休憩を入れながら、下の民家に着くと、おじいちゃんが

「シシにあったか?」

と聞く。

イノシシには、会わなかったと言うと、最近沢山出てきて困ると言っていた。



農家の畑のあぜ道に、ゲンノショウコが沢山咲いていた。

駐車場着14時丁度。



帰りに木綿麻温泉につかってくつろぐ。
此処の湯はとってもなめらかで疲れがとれる。

最初は、急坂にビビッテいたが、何とか登ることが出来た。
少しばかり自信のついた、山行きでした。