春の里山 西三子山 2008/3/29
         

− 西三子山 〜 1291mピーク 〜 高丸山登山口 −

桜前線が駆け足でやってきた。

山里は一気に春の気配となる。

今年はまだ福寿草に出会っていない。

そういえば西三子山にもまだ登ったことがない。

幸い今日はよい天気。

まーくつうさんとエントツ山さんのレポートを打ち出して朝7時に出発。

勝浦川を遡っていくと坂本のあたりでは桜が満開。

特に枝垂れ桜の濃いピンクが見事だ。

8時過ぎに県道16号八重地トンネルを抜けて1.8Km程進んだところにある西三子山登山口に到着。

もうすでに5台ほど先行者が駐車している。

高知や愛媛の車が多い。



登山口横には沢があり水量が豊富で滝のよう。

キブシの花が咲き始めていた。

8時30分出発。

いきなりのガレ場。



轟々と流れる沢を見下ろしながら登っていく。

噂通りいきなり厳しい登りが続く。



84号鉄塔への分岐をすぎてジグザグに登っていく。

芽吹き前の雑木林が心を和ませてくれる。



山肌に芽を出しているのはトリカブトか?ニリンソウか?



鉄塔下に出るのかと思ったらそのままジグザグを繰り返していく。

84番鉄塔が下に見えるようになると突然平坦な道にでる。

この道は昔木材搬出用のトロッコ道だったらしい。



早くも二名の男性が降りてきた。

大きなカメラを提げている。

「花はどうでしたか?」とお尋ねすると

「10株くらいしか咲いていなかった。早すぎるのか、もう終わったのか解らない」と言う。

「南の群生地へ行かれましたか?」と尋ねると

「南の群生地は知らない」と言う。

こんな朝早くに登って???

右上に86番鉄塔を見上げながらいくと電力鉄塔巡視路特有の鉄橋にでる。



道は相変わらず水平だが、崩れて狭くなっているところもある。

そのうち石灰岩が崩れて転がっている。

まだ酸化せずに白いので最近崩れたのかな?



アセビがたくさんの花をつけている。

まだ満開には早いがアセビの多い山だ。

正面にこれから向かう西三子山が端正な姿を見せている。




山肌に小さなスミレが咲き始めていた。

距の細長いこのスミレは?



振り返ると坊主山の丸っこい頂上。

9時15分後山峠(後山峠1060m)に着く。

ここからトロッコ道は作業道と交差する。

この先はへんど谷に向かって下っていくのだろうか?

「阿波の峠と里山歩き」を読むと「三ヶ谷」「立石谷」「泉谷」等の地名が出てくるが地図で確認できない。

しかもこのトロッコ道は八重地峠まで続いていたという

後山峠からの作業道を東へ行くと高丸山まで縦走できるらしいが...



峠からまた山道を登っていく。

新しい標識が頂上へと導いてくれる。



先行者の姿が一瞬見えたが角を曲がると見えなくなった。

アセビが多いがまだつぼみが堅い。

振り返ると三つのピークが見える。

一番左は高丸山だが右の二つのピークは何という山だろうか?

地図で確認すると1291mと1194mの標高しか書かれていない。



見晴らしの良い88番鉄塔に9時23分到着。

此処まで53分。

景色を見ながらコーヒータイム。



正面に雲早山から高丸山までの長い稜線が見える。

昨年縦走しようとして断念したことが思い出される。



この方向からみた高丸山はゴツゴツして男性的。

雨の後、あの頂上から左へと急坂を降りて縦走をあきらめたが、こうしてみてもすごい急坂だ。

そういえばあの左の肩に西三子山への縦走路の標識があったなあ。

へんど谷に向けて一直線に下っていく道だった。



正面に西三子山を見ながらのんびり登っていく。

この辺に90番鉄塔への標識があるはずだと思うが見あたらない。



雪の残った斜面を登りきると福寿草群生地との分岐標識。

9時36分

とりあえず頂上へ向かうかどうか迷う。

先に福寿草を見てゆっくり食事をしようと決定。



群生地への道は標高1200mほどをアップダウン無しに山を巻いている。

杉の植林地に入るがだんだん道が荒れてくる。

倒木が多い。

間違いじゃないの?というぐらいどんどん行くと突然植林地が開ける。

10時ちょうど群生地到着。

登山口から1時間半。

10時のチャイムがどこからか聞こえてくる。

木沢の役場からかな?



見渡す限り福寿草の群生が広がる。



ブナなどの広葉樹の根元や石灰岩の陰に朝日を浴びて黄金色の花が輝いている。



福寿草を踏まないように注意して歩くのにも苦労するほど。



庭園を見下ろす岩に腰をかけて再度コーヒータイム。

二人だけでこんなすばらしい福寿草の眺めをゆっくりと楽しめるとは。

山頂より先にここへきて良かった。

若い男性が登ってきた。



此処にもニリンソウかシコクブシか解らない葉っぱが沢山ある。



十分に楽しんでから山頂へ。

灰色に水で角が溶けた石灰岩を越えていく。



冠雪の剣三山が輝いて見える。

随分と雪は少なくなったようだ。



水が浸食した痕がはっきりと解る石灰岩は独特の雰囲気がある。

重装備の男性が二人降りてきた。

「綺麗に咲いていますよ」と言うと大喜びで降りていった。



20分ほど登ると稜線に乗る。

アメダスの高城山が目の前に見える。



稜線の水平な道を行くと10時53分頂上に着いた。

頂上には先ほどの若い男性が一人。



頂上にも石灰岩がごろごろしている。



雲早山をバックに記念撮影。



此処からも剣三山が木々の向こうに見える。



少し早いけれど、雲早山と高丸山の姿を眺めながら昼食タイム。

若い男性は夕方から仕事があると下っていった。

入れ違いにまた単独行の男性が群生地の方から登ってきた。

半年前から山に登り始めその楽しさに病み付きになったとのこと。

相生にお住まいだそうなので山歩きには便利だろうなあ。

今日はこの後、高丸山まで縦走したいと言っておられた。

突然にぎやかな声が聞こえだしたと思ったら、高知からの大集団が登ってきた。

入れ違いに先ほどの男性が下山。

私たちも出発することに。

高知からのパーティの方の話だと群生地を見た後、八重地トンネルの上の「大平山?」にも登ると言う。

「大平山?」とは初めて聞く。



そうこうしているうちに高知からのメンバーが続々登ってきた。

気がつくと家内の姿が見えない。

私も急いで下山する。

11時24分。

下山路は明確でない苔むした石灰岩の間を適当に下っていると、どんどん家内と離れてしまった。

急いで左へと行くが苔で思い切りスリップ。

足首が痛い。



石灰岩の道が終わると男女三人組がのんびり登ってきた。

鉄塔下にはあまり咲いていなかったという。

群生地には綺麗に咲いているとお教えすると、大喜び。

15分ほどで朝の群生地との分岐につく。

来た道をたどっていくと子供連れの家族の一団が。

やはり咲いているかとの質問に群生地までの道をお教えする。



昔このあたりはヒメシャラが多く、そのためにトロッコ道も「あかぎ(ヒメシャラの別名)わら(はら?)」と呼ばれていたという。

立派なヒメシャラが残っていた。

88番鉄塔に着くと二人が食事中。

単独行の男性がまた「咲いていましたか」と聞く。

綺麗だったというと

「それでは頑張って登ります」

またまたにっこり大喜びで登っていった。



目の前に高丸山から続くピークを眺めながら下る。

後山峠に12時丁度につく。

木沢の方向から12時のチャイムが鳴り響く。



男女3名が立石林道に向かって降りていった。

このすぐ南下まで林道が来ているらしい。

このまま帰ろうかとも思ったがまだ時間が早い。

考えている間に家内は早くも高丸山への作業道を進んでいる。

作業道よりも尾根道を行く方が...

ゴロゴロ石の作業道は途中で右上へと分岐している。

まっすぐ行くとどこへ行くのか?

沢谷方面に続いているのかも?



作業道は登りになり荒れてくる。

ふと見ると先ほど頂上でお会いした男性が座り込んでいる。

一人で歩くと熊が怖いので先に進むか悩んでいたそうだ。

一緒に先に進むが林道は途中大きく崩れている。

ガラガラ石の崩壊地は足を乗せると岩がガラガラ崩れる。

此処が「徳島秘密探検隊の」E隊員が遭難しかかったと言っていた場所か?

慎重に何カ所かの崩壊地を越える。

1194mのピークと1291mのピークの鞍部を作業道は切り裂いていて、

どこまで続くのかと思っていたら突然行き止まりとなった。

覗くとかすかな踏み跡がピークへと続いている。



踏み跡を辿り登っていく。



たった140m程の登りだが直登道は厳しい。

なんと前方から、にぎやかな声が近づいてくる。

高知からのパーティで四季美谷の支配人に教えられてこの道をやってきたという。

そういえば先週、四季美谷温泉主催で高丸山から西三子山まで縦走すると書いてあったような記憶が..

高丸山に登ってから三つ尾の峠からピークに登らずにトラバースしてやって来たという。

私たちはそのまま直登路を行く。

私は、たまらず見晴らしの良い岩場で景色を楽しむ。

綺麗な三角錐の西三子山の右肩に剣三山。

綺麗だなあ。



家内達に遅れながらやっとピークに着く。

13時4分。

峠から約一時間。

綺麗なブナの木がお出迎え。



相生の男性とこれから先のことを相談する。

男性はこれから三つ尾の峠経由で高丸山に登るという。

私たちには此処から八重地峠への下山路を下ると良いと教えてくれる。

しかし家内はそのまま三つ尾の峠に向かって降りていく。



スズタケの中をかき分けながら降りていく。



道が綺麗になると三つ尾の峠着。

13時29分

男性とは此処でお別れ。



展望台と書かれた方へ進むが展望台は基礎が残るのみ。

これから先へ続く道も消えている。



引き返してスズタケの中を強引に下るが作業道に出てしまった。

この道はやたらと遠回り。



悠久の森育成区の看板。

今ある杉檜の林を100年かけて大木の尊厳感ある林に育てていくという。???

千年の森の駐車場に14時丁度着。

行動食補給をして車まで引き返す。



舗装路歩きは足裏が痛い。

ひたすら歩く。



高丸山の植林地帯は所々で大規模伐採が進んでいる。

これも悠久の森づくりの一環か?

それまでに大雨が降ればどうするの??



道ばたにミツマタの花が咲いていた。

去年の秋つぼみを付けていた三嶺のミツマタも花を咲かせているのだろうか。

高丸山を振り返りながら歩いていく。



14時40分登山口入り口に着く。



此処から八重地トンネルまで我慢の車道歩き。

14時18分トンネル着。



後はひたすら車道を下り登山口着15時28分

足の裏が腫れ上がっているみたい。



引き返しているとトンネルを越えたところで相生の男性が引き返してくるのに会った。

今日のお礼を言ってお別れ。

また何処かの山でお会いするでしょう。

帰りにミツマタのすばらしい群生地があった。

朝よりさらに満開となった桜を楽しみながら帰宅。