秋の里山 黒部五郎岳 黒部源流 雲ノ平 周回  2015/09/21~24
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そのⅠ 太郎平小屋 9月21日

そのⅡ 黒部五郎岳 9月22日

そのⅢ 三俣蓮華岳 

そのⅣ 黒部源流 雲ノ平 折立 9月23日24日



黒部五郎岳 五郎カール 黒部五郎小舎



拡大図は此所をクリック。。



朝、2時過ぎに目が覚めるとトイレから帰ってきた家内が星空が綺麗だという。

隣に寝ていたご夫婦と共に星空見学に広場に出る。

北斗七星やオリオン座はもちろん無数の星が見える。

天の川も無数の星の流れとなり夜空を横切っている。

素晴らしい眺めだが、コンデジでは撮影出来なかった。

ご夫婦は京都に住まれているそうでこんな星空は見たことが無いと感動されていた。

3時30分、水をペットボトルに詰めてポカリスエットの粉末を入れて、出発準備をしてトイレなどを済ませる。

結局私達の上の段は一人しか宿泊者が居なかったようだ。



気温は6.8度 この時期にしては暖かい。

湿度が90%なのは天気が崩れる前兆なのか?

ちょっと心配。

4時20分 行動食のブルーベリーパンを食べて、西銀座ダイヤモンドコースに向けて出発。

太郎山方向にチラホラとヘッドランプの明かりが見える。

既に何人かが出発しているようだ。



薬師沢への道を左に分けてまずは太郎山に向かう。



4時37分 太郎山到着 何も見えない。



宵の明星が明るく輝いている。

周りは全く見えないが、木道を黙々と歩く。

果たして黒部五郎岳には何時間ぐらいで着くことが出来るのだろうか?

日本アルプス登山ルートガイドでは、折立⇒太郎平小屋 3時間55分 太郎平小屋⇒黒部五郎岳 3時間45分 

となっている。

折立⇒太郎平小屋は私達でも4時間は掛からないので、太郎平小屋⇒黒部五郎岳も4時間以内で登ることが出来るのだろうか。

山と高原地図では折立⇒太郎平小屋は5時間

太郎平小屋⇒黒部五郎岳は4時間45分となっている。

登山者がコースタイムとして参考にする代表的な資料でもこのように異なっている。

しかも同じ資料でも、ルートによってコースタイムの甘さと厳しさが異なる。

初心者コースは甘く、ベテランなどが歩くことを想定している縦走コースなどはタイムが厳しいと思われる。

二つのコースタイムを参考にすると標準で4時間以内、遅くても5時間以内で黒部五郎岳に登れるはずだ。

ゆとりを持って5時間としても到着は9時20分。

五郎カールを1時間ほど散策して休憩しても11時には帰途に着くことが出来る。

そうすれば、遅くても16時前には太郎平小屋に帰ることが出来る。

そして明日はのんびりと下山して富山の美味しい魚を堪能して早い時間に帰宅することが出来るだろう。

しかし、昨夜のご夫婦は黒部五郎小舎から11時間30分もかかったと言っていたが?



歩くほどに明るくなってくる。

左に薬師岳の姿がクッキリと見えるようになる。



振り返ると富山の町は雲海の下。

若い男性が追い抜いていって、「もっと速く歩かないと日の出に間に合いませんよ」と言って去って行く。



焦っても仕方が無い。

振り返ると太郎山の向こうに鍬崎山や鉢伏山が幻想的に見える。



しばらく頑張って登ると2,576mのピークに着く。

大勢が休んでいる。



振り返ると雲海に浮かんでいるのは白山だろうか。



北ノ俣岳が赤く焼け出した。

笠ヶ岳もクッキリと見える。



これから向かう黒部五郎岳や三俣蓮華岳そしてその左には鷲羽岳だろうか。

ワリモ岳の尖りが祖父岳の向こうに見える。



アップにすると三俣蓮華岳の向こうに槍の穂先が見える。

その右の三角錐の山は笠ヶ岳だろう。



突然歓声が上がって、水晶岳の上から朝日が顔を出した。

一瞬静まりかえって、その後ため息のような歓声が起こる。

生きていることの幸せを強く強く感じることが出来る瞬間だ。



北ノ俣岳のモルゲンロートが綺麗だ。

登山者の皆さんはのんびりとくつろいでいる。

先ほどの男性から「すみません、日の出に間に合いましたね。良かったですね」と謝られた。



槍の穂先が天を貫いている。

草紅葉が朝日に燃える中を笠ヶ岳に向けて進んでいく。



早朝の清々しい空気の中真っ赤に燃える北の俣岳に向かって進む。

歩くことがこんなにも贅沢に感じることが出来る私は幸せ。



チングルマの紅葉が鮮やかだ。



やがて黒部五郎岳が正面に見えてくる。

左には、槍ヶ岳の槍の穂先、右には笠ヶ岳のピラミッドが見えている。



霜が降りてチングルマの紅葉などに霜が降りていて綺麗だ。



北の俣岳へはなだらかな道が続く。



左の緩やかな斜面には、左俣から薬師沢の左俣出合へと続く沢筋だろうか?

北の俣岳の向こうに見える黒部五郎岳はとても大きく見える。



多くの小さな池糖が朝日を浴びてキラキラと輝いている。

ハイマツ帯を登って行く。

雷鳥が多い所だと聞くが、このピーカンの天気では出てきそうも無い。



振り返ると一面の雲海の向こうに白山が大きい。



薬師岳の左に少し顔を出しているのは剱岳だ。

飛騨トンネルへの分岐点は気がつかなかった。



6時39分 北の俣岳着

三等三角点(標高2,661m 点名は北俣岳)がある。

此所まで2時間10分。

コースタイムより15分遅れているがこんなものだろう。



山頂標識で記念撮影。

タカネヒカゲ等の高山蝶の捕獲禁止の看板。



正面右から黒部五郎岳、槍ヶ岳、三俣蓮華岳、大天井岳、鷲羽岳



道標



振り返ると薬師岳



黒部五郎岳の右に綺麗な三角錐の笠ヶ岳そして、乗鞍岳、御嶽山



パノラマで。



御嶽山は噴煙も上がっておらず相変わらず美しい姿を見せている。。

御嶽山が噴火したのは丁度一年前、私達が雲ノ平でくつろいでいた頃だ。

その又一年前の噴火した時間に私達は御嶽山山頂に居た。

ちょっとした幸運で、今も元気でこうやって景色を楽しむことが出来ている。

幸運に感謝。



黒部五郎岳はまだまだ遠い。

なだらかなハイマツ帯を下りていく。

池糖が輝いている。



気がつくと7時になっていた。

登山道脇に座って太郎平小屋のお弁当を食べる。

炊き込みご飯のお握りだが、ちょっとパサパサになっている。

客が多いので作ってから時間が経っているのかもしれない。

去年はお寿司で美味しかったのに。

混んでいるときは仕方が無い。



水晶岳を正面に見て下って行く。



素晴らしい眺望だ。

特に黒部五郎岳の右に笠ヶ岳、乗鞍岳、木曽御嶽山が並ぶ眺めは他の場所では見ることでは出来ない。

流石、西銀座ダイヤモンドコースと呼ばれるだけのことはある。



思っていたよりも随分と長く下って行く。

左の台地は雲ノ平。

谷の向こうには黒部源流があるはずだ。



目の前にイボのような岩山がある。

岩を積み上げたような小さな山が2,622m赤木岳だ。

飛騨花崗岩類を貫き、斑状の石英モンゾ閃緑岩からなる。黒部五郎岳閃緑岩の山のようだ。



登りにくい大きな岩を乗り越えていくと頂上に着く。

石の祠がある。

7時49分。



ドンドン下りていく。

黒部五郎岳へはまだまだ遠い。

此所から黒部川へと流れ込む赤木沢は滝が美しくて沢登りの方達には憧れの沢らしい。



皆さんフウフウと息を切らせて登ってくる。

今朝、黒部五郎小舎を出発した人達だろうか。

雲ノ平から見ると鉤鼻のように見えるピークが近づいてきた。



鞍部から150m位のピークを登り切るともうこの先、黒部五郎岳の間にピークは無い。

此所は、中俣乗越2,578m



薬師岳と赤牛岳そして右には雲ノ平

その奥には後立山連峰

この山々の間を黒部川は源流から黒部湖まで流れている。



後立山の山々をアップ



雲ノ平が回りを黒部川の流れで削られて航空母艦のように浮かんでいる。

この方向から見るとまるでナウシカの王蟲(オーム)のようにも見える。

周りを囲む山々が氷河の流れや雨水の浸食などで浸食されているの比べて溶岩台地そのままの姿で残っている。



雲ノ平をアップ。



さて、眺望を十分に楽しんだので黒部五郎岳に向けて登ろう。

でっかい山だなあ。

鞍部2,512mから2,840mまで標高差330m程の登りだ。



流石五郎岳 ゴーロゴーロの岩が増えてくる。

大勢が下りてくるようになる。



ひたすら登って行く。



黒部五郎岳の左の肩に着いた。

大勢が休憩している。



五郎カールを見ながら朝の弁当の残りのお握りを食べて休憩。

一息付いて、ザックをデポして頂上に向かう。



大展望の黒部五郎岳頂上に着く

槍ヶ岳から穗高連峰そして、抜戸岳から笠ヶ岳への稜線もよく見える。



黒部五郎岳頂上 到着 

11時3分。

素晴らしい眺めだ。

薬師岳や立山、剱岳もよく見える。



双六岳の向こうに槍ヶ岳がその頂を天空に突き上げている。

その右に大バミ岳喰岳、中岳、南岳。

大キレットの右には穗高連峰

なんと、6時間43分もかかった。

日本アルプス登山ルートガイドの 3時間45分より3時間も余分に掛かっている。

山と高原地図の4時間45分より2時間オーバーだ。

若い男性は別として、普通の登山者には殆ど抜かれずに歩いたのに?

これでは、カールを見学して帰るどころか、このまま引き返しても太郎平小屋へは16時までに帰れるかどうか。



それでは、此所から引き返すのは諦めて、五郎カールを楽しんでとりあえず黒部五郎小舎まで行ってみよう。

そう考えてみると、直ぐ其処に見えている雲ノ平が気になる。



なだらかなように見える五郎カールの底に黒部五郎小舎が見えている。

稜線コースはここから南へと下るが私達はカールコースを下ることにする。



こんな所に三角点がある。

三等三角点「黒部」2839.58 m



肩まで帰ってきて、カールコースを下る為に一旦カールの裏側を登る。。



カールは、黒部五郎の巨大な山塊をでっかいスプーンでガバッとカットしたようだ。

北の稜壁をカールの底目指して下りて行く。

山頂直下にはまだ雪が残っている。



急坂をブルーのシャツを着た男性が三人走り上がってきた。

凄い勢いだ。

私達は滑らないように気をつけながらカールの底まで下りて更に羊背岩の転がるカールを下って行く。



残った雪渓から雪解け水が流れている。

冷たくて美味しい。

この水が五郎沢に集まり黒部川に流れ落ちるのだろう。

とすれば此所も沢山ある黒部川源流の一つだろう。

家内が、男性に此所も黒部川の源流ですかと聞いている。

水が美味しいというと、「この辺の山頂に近い所の水は余り美味しくない。」

「この水が伏流水などになって、源流碑等の黒部川に流れ込む辺りまで行くとミネラルたっぷりとなりとても美味しくなる」とか。



写真の岩塊は、すべて羊背岩だ。

岩石の上流側の傾斜はゆるく、下流側の面の傾斜は急になっている。

雷によって割れたという伝説の雷岩がある。

草紅葉が美しい。



大小の美しい飛騨花崗岩の間を進んでいく。



振り返ってみる黒部五郎岳はとても厳しくて素晴らしい山に見える。



カールを進むと小高い所を登るようになる。

此所がモレーンだろうか。

イワヒバリが懐っこく近寄ってくる。



何度振り返ってみても美しい。



ところが、もう着いても良いと思うのに小舎は中々見えてこない。



雲の平がかなり高く大きく見える。

その向こうに水晶岳



いったい何処まで歩けば良いのだろうかと思う位遠い。



モレーンを越えると突然平原が広がり黒部五郎小舎が見えた。



まるでハイジが出てきそうな素晴らしい所だ。



直ぐ側にはテン場もある。

天場の向こうの厳しそうな斜面は抜戸岳だろうか?

黒部五郎小舎到着。

14時2分。

黒部五郎岳頂上から3時間も掛かった。

広場にある水道の水を頭から被り、ゴクゴクと飲みベンチに座り込んで休憩。

先ほどのトレランの人達が、黒部五郎岳山頂まで往復で1時間40分だったと話している。

私達には想像も出来ない早さだ。

休んでいると家内が、此所から黒部太郎岳を登り返して太郎平小屋まで帰るのは嫌だと言い出した。

此所まで来たら、先ほど飲んだ黒部五郎の水より美味しいと言う黒部源流の水を飲みに行きたいと言う。

そして雲ノ平経由で帰れば明日には折立に帰ることが出来るのでは?とも言う。

急いでコースタイムを計算すると、コースタイムでは明日薬師沢小屋まで十分行くことが出来る。

しかし、コースタイムは当てにならない。

まだ時間は早いのでこのまま三俣山荘まで行こうかと小屋の男性に聞くと此所からだと2時間半以上掛かると言う。

それでは、山小屋限界時間16時を過ぎてしまう。

諦めて此所で泊まろう。

チェックインすると今日は布団一枚に一人で寝ることが出来ると言う。



大広間みたいな所に案内されるが、後から「あなた方予約しているでしょう。予約している人はこちらの部屋です」

と別のゆったりした部屋に通された。

棚も大きくてザックを置くスペースを広い。

ひとまず落ち着いて、ビールを買って外のテーブルで一気飲み。

もう一杯飲もうとすると、ビールは一人一杯ですと言う。

連休でビールが売り切れそうになっているようだ。

家内にもう一杯買いに行ってもらって、このために買ってきたコロッケパンをアテにのんびりと飲む。

のんびりしていると、やってきた男性からお声がけいただく。

なんと、剣山系でよくお会いしていた相生の熊さんだ。

剣山系のあらゆるルートを登り倒して最近百名山にチャレンジしているそうだ。

今日はキャンプ場でテン泊とのこと。

ちなみに熊さんとは熊に似ていると言う事では無くて、見かけによらず熊が怖い怖いと言っていた事から...

今日も5時から食事で、空いているとは言いながら他の部屋は結構足の踏み場も無い状態。

でも私達は予約している関係で、広い部屋に他に一組の夫婦だけ。

喧しい音も聞こえない奥の部屋で、7時には熟睡することが出来た。



食後、外に出てみるとガスってきていた。

これでは夕日を楽しむことは出来ない。

草原に茶色の実が沢山残っているのはコバイケイソウの実だろうか。

夏には一面コバイケイソウが咲いていたのだろう。

さあ明日23日は、雲ノ平山荘泊まりか?

出来れば薬師沢小屋まで行きたいな。

明後日の24日は予備日として休暇を取っているが、遅くなると25日の出勤が厳しくなる。

雲ノ平山荘に12時までにたどり着くことが出来れば、余裕で薬師沢小屋まで行くことが出来ると思うのだけれど。


そのⅠ 太郎平小屋 9月21日

そのⅡ 黒部五郎岳 9月22日

そのⅢ 三俣蓮華岳 

そのⅣ 黒部源流 雲ノ平 折立 9月23日24日






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