剣山
剣山は私の中で特になじみの深い山です。年に5〜6回は登ります。

最初は、昭和45年まだ見越までの林道が工事中でした。
(所が後で調べるとコリトリ〜見の越線は昭和40年に竣工していて100円の有料道路だったらしい。シカシ確かに工事をしていた。)
途中で車を止めてコリトリ?から登った。何の準備もしていない。もちろん登山靴など履いていない。
ズックのままであった。何時間かかったかも覚えていない。
山荘へ着くとシーズンの終わりで、最後の営業日だった。
先代の新居さんにお世話になり、うどんをいただいていろいろな山の話を聞かせてもらった。
双眼鏡で見る徳島、高松の街の明かりがとても綺麗だった。

広い部屋で何枚もの布団にくるまって寝るが寒くて寝付かれない。
ふと耳を澄ますと、隣の部屋で話し声がする。
ソロモンの秘宝を探して何十年も山を掘っているおじいさん(宮本さん?)と若い人の声。
「明日は必ず宝が出る」「宝が出たらみんなに盗られるかもしれん」
「お前、宝を隠し持って山を先に下りてくれ」「落ち合うのは名古屋の・・」
そんな話を聞きながら寝てしまった。

あくる朝5時過ぎに、山伏が起こしに来た。何のことかわからずについていくと、
岩の上に出て「さあここから朝日を見なさい」
その人は東京農大を出て、山伏になりもう10年以上も剣山に籠もっているという。
それから走り回って、滝を見せたいだの、神社をお参りするなど昼過ぎくらいまで一緒にいた。
きっと、薄汚い格好で時期はずれに一人で登ってきた私を心配したのだろう。
あの人たちはあれからどうなったのだろう。

あの時何故、剣に登ろうと思ったのか。体験したことは本当にあったことなんだろうか。
何十年も過ぎて、未だに脳裏にはっきりと残っています。