木曽駒が岳 その2
 
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気休めに防水スプレーを、空っぽになるまで吹き付けてから、宝剣山荘の左から中岳を目指す。

お断り..ここからの画像は非常に乱れていますが、それは貴方のパソコンの故障ではありません。

すぐ左に岩山がありここから宝剣岳へ行けるようだ。
天気の良い日なら15分程度で、素晴らしい頂上に立てるそうだが、今日は無理だ。

なにしろ周りが何も見えないので、コンパスがなければどちらに向かって良いか解らない。

一人岩山を登って行こうとする人がいる。
その人は岩にしがみついたまま立ち往生。突然後ろから、そっちへ行ったら”死ぬぞっ!”と一喝。

あわてて引き返してきた。

それまでロープを頼りに歩いてきたが、ここは広場のようになっているようで、北を目指して行くしかない。

先ほどまであんなに沢山いた登山客は突然いなくなる。
どうも天狗荘の方へ行っているようだ。

家内を見るとポンチョが風でまくれあがって、赤い提灯のようになっている。
目印になって丁度良い。

後ろから人の来るのを待って、後ろについて行く。



岩場を道を逸らさないようにひたすら登る。
ゴアテックス軍団は、足腰が弱い。
気が付くと追い越してしまっている。



もうこうなったらカメラに雨が当たっていようが気にしていられない。
このポンチョの欠点は、ポケットが着いていない事だ。
カメラをしまう所がない。帽子にくるんで握りしめて行く。

やっと、大きな岩があり、祠が祀ってある。ここが中岳山頂だ。

休もうと思っても風がきつく、よけいに寒くなってしまうので、先を急ぐ。



岩がごろごろして歩きにくい道を、慎重に下る。こんなところで捻挫したら、とんでもない事になる。

下りきって広い鞍部に出る。右に行くと頂上山荘だ。10m程の筈だが、かすかにしか見えない。

ここでもまた、山荘へ行く人がほとんどだ。

道標を頼りに進もうとするが、だだっ広くてロープも見えない。

しばし佇む。

後ろから、トランシーバー片手にガナリながら一人来た。どうも頼りなさそうだが後ろを付いていく。
仲間と話しているようだが、突然引き返し始めた。頂上まで行かないんですかと聞くと、ムスッとしてそのまま行ってしまった。

また、頼る人がいなくなった。風速計の塔が広場の真ん中にある。
思案に暮れていると、ステップを踏むような軽い足取りで女性が二人下りてきた。
一瞬、高嶺フラワーズのお二人かと思ってしまった。

真っ直ぐ30分も行ったら頂上ですよと言って去っていった。

方向を間違わないように進むと、少し傾斜がきつくなり、道幅も狭くなり、ロープが明確になる。
しばらく行くと若い男性のグループが、もうあかん!と言う感じで座り込んでいる。
まだ20分もかかるで?なんて話し合っている。



そこから50mも行かないで突然、木曽駒が岳の頂上に着いた。
9時40分になっていた。

まわりは360度、真っ白けである。
これだけ見えないと、かえってサッパリとする。

続々と登ってくるが、やはり寒さでふるえが、とまらなくなっている人が何人かいた。



何のためにこんな悪天候に、登って来るのだろう。
天気であれば散歩コースなのに、今日はヒマラヤにでも登った気分になっているんだろう。
山頂標識で感慨にふけっている、わが同胞達



頂上には沢山のケルンと、駒ヶ岳神社奥の院ともう一つ神社がある。
石垣で囲まれているので風よけによい。
10時10分下山を開始する。



イワツメグサ                     ウサギギク



コケモモ



ゴゼンタチバナ?(左)



山頂直下には、色々な高山植物が咲いていた。
晴れた日にゆっくりと見てみたい。

元来た道なのでもう迷いはない。
前を行く人が突然振り向いて、「この道はどこへ向かっているんでしょう?」
中岳ですよ。「あっそうですよね」
前から来る人が、「どこから下りてきたんですか?」
駒ヶ岳山頂ですよ。「あっそうですよね」
普段であればなんて事無い、緩やかな高原の道だが、この様な気象状況では、しっかりした(大きい)道標が必要かも?

中岳の頂上まで来ると、風と雨が強烈になってきた。しばし頂上の岩陰で休むが、天候は悪くなるばかり。
思い切って下山する事にする。
とても写真などは写せる状態ではない。

突然、家内が「コマクサが咲いている」
と言うので、近寄ると20年前から栽培しているらしい。

これは写さなくっちゃと、仕舞ったカメラを取り出す。
手がかじかんで、しっかり握れない。

コマクサにカメラを向けてシャッターを押した途端、突然の突風が吹いてきた。
体が吹き飛ばされそうで、足を踏ん張るのが精一杯。
気が付くとカメラを風上に突き出していた。こりゃまずいと思って仕舞おうとした途端、カメラがふわっといなくなってしまった。

こりゃあ、あかんと思い拾いに行くと、勝手にフラッシュがたかれて、シャッターが切れている。
自動撮影カメラになってしまっていた。
横に滑るように飛んでいったので、外見は擦り傷程度しか入っていない。

電源を切って、また入れると勝手にどんどん写しまくる。
断末魔の叫びか???



(左)カメラが飛んだ瞬間。上方にコマクサの影が..  (右)カメラを拾いに行った私の足が勝手に写っている。

と言う訳で、これから後は撮影無し。
この旅行ではもう一台、一眼レフタイプのカメラを持ってきているが、この雨では使えない。

途中もう一度、宝剣山荘に寄り、熱いコーヒーをいただく。400円。

隣の若いスポーツマンタイプの人は、ふるえが来てザックのファスナーを開ける事が出来ない。
なんとか頑張って、濡れた服を着替えていた。

パック旅行の登山客が沢山やってきたが、有料トイレに入るのみ。
みんなは寒い外で休憩している。屈強なガイドが、パックの登山客は山荘では休まさないとかえらそうに言っている。
聞くと昼食もとってないそうだ。

このパーティと一緒に下山するが、しばらくして一人の女性が座り込んでしまう。
みると顔が灰色になっている。ガイドが血相を変えて飛んできた。

この女性はその後ロープウェイ駅で元気を回復していた。

下りは千畳敷カールを左に巻いて、花を見ながらゆっくりと帰る。
写真を撮らずに、花を観賞するのも良いものだ。

駅に着くと1時丁度。整理券を貰うと700番。今出ているのが100番台。後600人も待っている事になる。
お土産を買ったり、食堂でおそばを食べたりして過ごす。

ふと壁を見ると、一年前にツアーで来た人が、自由行動でそのまま帰ってきていない「探し人」のポスターが貼ってあった。
今日のような日に登って、どこかへ迷ってしまったんだなあ...

その後、昼食を食べていない事に気が付く。おにぎり弁当を引っ張り出し腹一杯食べる。

2時40分にやっとロープウェイに乗る事が出来た。

後は、今晩の宿泊所の天竜峡へとまっしぐら..



ホテルの部屋から見える天竜川下り

5時にホテルに着き、6時に食事。
鯉の刺身と甘露煮が美味しかった。



天竜峡の夕暮れ(明日は天気かなあ?)

天然ラドン温泉に2度入り、9時に寝てしまった。

続く