秋の里山 笠ヶ岳    2016.10.12~14
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- やっと登ることが出来た笠ヶ岳 -

新穂高温泉駐車場から鏡平山荘 2016.10.12

例年、9月下旬には紅葉を楽しみに日本アルプスの山歩きを楽しんでいる。

2年前は、薬師岳から雲ノ平

昨年は、黒部五郎岳~三俣蓮華岳~黒部源流~雲ノ平と歩いた。

素晴らしい紅葉を楽しむことが出来た最高の山歩きだった。

今年は、家内のたっての希望で笠ヶ岳へ行く予定だった。

家内は槍ヶ岳に登った時に泊まった、平湯の温泉旅館から見た笠ヶ岳の秀麗な姿が忘れられないという。

しかし、天候が悪く延び延びとなった。

今年は駄目かなと思っていたが、幸い10月の3連休の後から数日天気が良い予報。

どうしようか悩んだが、12日から2泊3日で出かけることにした。





総歩行距離 33.4㎞

累計標高差 ±3,012m

総歩行数  1日目 19,066歩 2日目 14,848歩 3日目 25,092歩 合計 59,006歩



笠ヶ岳は本来なら笠新道から登るのだが、最近の体力の低下から鏡平山荘経由で登ることにした。

早速、山小屋に予約を入れる。

そして、で登山届を提出。

7月の朝日岳周回で家内が手首の骨を折ったことを教訓に、コンパスから同時に保険に加入。

この保険は3泊4日までの登山に適用できて、死亡保険や傷害保険の他に、
300万円の遭難救助保険が付く。

山岳保険はjROが有名で安いが、今回は1回限りの掛け捨て保険。

1名600円と格安。

これで総合的に補償を受けられるのだから安い。



前夜は早く寝て、朝1時に起床。

2時出発で、9時到着を目標に、高山経由で新穂高無料駐車場に向かう。

駐車場は、ほぼ満車だが数台分空いていた。

ラッキー。

正面に、抜戸山あたりの白っぽい稜線が見える。

最高の天気だ。

明日は寒気が降りてきて、初雪が降り早朝は凍るかもしれないとの事。

念のために軽アイゼンを携帯。

今日は温かいが、3000m 級の稜線は一旦天候が崩れると厳しい寒さとなる。

体温調整がしやすいように、薄い山用のアンダーシャツを二枚重ねに着て、速乾性の山シャツを着る。

それにフリースとダウンジャケットとゴアテックスのジャケットを持参することにする。

下はCWXのタイツと秋用登山パンツそしてゴアテックスのレインパンツ。

スパッツも持参。

非常食や行動食そして昼弁当などを入れるとザックはパンパン。

薬やテーピングなどの緊急用品にシュリンゲ。

ナイフやワイヤーなども入っているために結構重い。

この夏には家内が転倒して手首を骨折したため、テーピングテープが役に立った。

以前、靴底が剥がれたときにもワイヤーとテーピングテープの世話になった。

鏡平までは水場が多いが、それ以降は水場はないので水やポカリの粉末も欠かせない。



8時50分出発。

標高は1,090m

今日は標高2300mの鏡平山荘まで約1,200mの標高差を登る。

新穂高登山センターに向かうと、その向こうに笠ヶ岳がそびえている。

その形状から笠ヶ岳という名前がついたように、笠を伏せたような見た目が特徴的で美しい。



登山指導センターでトイレを済ませて登山口に向かう。

ハイシーズンにはセンター前に黒山の人だかりとなるそうだが、今日は軽装の若い女性が二名だけ。

ロープウェイに乗るのだろうか、天気が良いのでルンルンで歩いている。



笠ヶ岳から抜戸岳の中腹にはくっきりとした縞模様が見える。

この「水平な縞模様は,かつてカルデラ火山であったことの証」だそうだ。

 ①約6500万年前の火山活動により,巨大な窪地,カルデラができた。

 ②そのカルデラ内には火山灰や溶岩が繰り返し堆積した。

 ③硬い溶結凝灰岩とそれ以外の軟らかい火山噴出物が交互に積み重なった層をなした。

 ④
それが,その後,隆起して,飛騨山脈が作られ,今の縞模様になったと言うことだ。

6500万年前には丸く凹んだ巨大なカルデラであったと言うから驚きだ。



ここから右へと右俣林道を行くと、槍平小屋経由で槍ヶ岳に登ることが出来る。



左俣林道ゲートに向かう。

9時19分着。



此処から弓折乗越までは、昨年裏銀座からの帰りに歩いた事がある。

新穂高温泉バスターミナルから鏡平山荘までのコースタイムは4時間40分。

私達なら2割増しで6時間くらいだろうか。



花の季節は終わり、真っ赤なツリバナの実が目立つ。

気温は10.9度だが風がないので汗ばむくらいだ。

蒲田川に沿って緩やかに登っていく。



今日の気温では、お助け風が出ているのが感じられない。

左に見えているのは穴毛大滝だろうか?



見上げると美しい山の山頂が見えるが、山名がよくわからない。



振り返ると標高2,168mの錫杖岳(しゃくじょうだけ)から連なる南尾根の岩稜帯が見える。

尖っているのはロッククライミングで有名なエボシ岩だろうか。



単調な林道歩きだが、青空とヒンヤリした空気がこれからの山歩きの楽しさを期待させてくれる。

10時14分 笠新道登山口1,350mに着く。

明後日には、笠ヶ岳からここに降りてくることになる。

無事帰ってこれますように。



わさび平小屋 標高1,402 m着。

10時25分

トイレをお借りして小休止。

小屋には男性が二人休憩していた。

やはりすでにオフシーズンなのか、去年の賑わいがウソのようだ。

トマトなども置いていない。

小屋のスタップが、店仕舞いの準備に忙しそうだった。



この道は去年歩いた道だが、あの時は大雨の後で道が見えないほど冠水していた。

わさび平小屋からブナの原生林に囲まれた気持ちのいい道を20分程進むと、小池新道入り口につく。

10時54分



去年は雪が残っていて、林道を通ることが出来ずに河原の中を歩いた。

正面奥の山は弓折岳だろうか。



沢を渡っていくがとても歩きやすい。



タカネナナカマドの実が真っ赤だ。



岩の道を登るが階段状に岩が置かれていて歩きやすい。



槍ヶ岳が顔を出した。

この方向から槍ヶ岳を見るのは初めてだ。



11時44分 笠が岳の秩父平を源流とした、秩父沢に着く。

先程わさび平小屋から出発して行った男性が休憩していた。



正面に弓折岳を見ながら緩やかに登っていく。

ガマズミの実が熟れていた。

家内のペースが急に落ちてきた。

昨夜はほとんど寝ていないらしい。



カエデ?がきれいに黄葉している。

去年は沢のようになっていて苦労したチボ岩通過。

「チボ」は関西の方言で「すり」のことらしい。

ここで物を落とすと、すりに取られたように岩の間に入ってしまって取り返せないと言うことだとか。



火山性のヒン岩のゴーロ帯が続く。

確かに、この岩の間にスマートフォンなどを落とすと、取り返すことが出来ない。

ゴゼンタチバナの赤い実が目立つ。

去年は、豪雨で沢のようになった岩で家内が転倒して、膝を深く傷つけて数ヶ月も治療が必要だった。



下山者に出会うようになるとイタドリヶ原に着く。

12時27分

わさび平と鏡平の中間点のようだ。

岩に腰をかけて昼食にする。



名前のとおり、周りは枯れたイタドリの原っぱになっている。

食後、小さな沢にかけられた木橋を渡っていく。



歩いてきた蒲田川の流れとその奥に焼岳、そして西穂高から続く穂高連峰。



13時14分 シシウドヶ原到着



去年の夏は雪渓が残っていてシシウドは見えなかったが、ミヤマシシウドが群生した跡が残っている。



登山道脇には、シラタマノキやゴゼンタチバナの実が沢山ある。



ツルリンドウの実も。



イワカガミの葉が紅葉している。

赤い肌のダケカンバが多い。

アカカンバだろうか。



木道となり熊のおどり場通過。

寒くなってジャケットを着る。

冷たいものが落ちてきたと思ったら雪のようだ。

初雪だ。

今日は天気が良い筈なのに、寒気が早く降りてきたのだろうか。



確かに熊でも踊ることができそうな広場がある。



地糖が現れると鏡平はすぐそこ。



14時7分 鏡池到着。

残念なことに雪雲が槍ヶ岳にかかって霞んでいる。

当然逆さ槍も見えない。

今年も見ることが出来ないのかな?



寒いと言っても気温は7度。

14時14分 鏡平山荘着。

スタートしてから、休憩込みで約5時間だから私たちとしては良いペース。

わさび平小屋でお会いした若い男性が休憩していた。

今日は双六小屋まで行く予定だったが、天候が悪いので此処で引き返すとの事。

双六小屋も雪が降っているそうだ。



とりあえず鏡平小屋にチェックイン。

すると、明日は寒気が強いので冬山に対応した装備を持っていますかと聞かれる。

この時期に草津白根山で、とんでもない寒さを経験したことがある。

あんな寒さに耐える装備は持っていない。

しかし、少しくらいの寒さなら大丈夫な装備を持っていると答える。

明日の朝また良く確認するように言われる。



予約してあったので一番良い場所に案内してくれた。

今夜はゆっくりと寝ることが出来るようだ。

寝床を確保してから、何時もなら生ビールだが今日は熱燗。

650円はちょっと高いかな。



鏡池に行って槍穂高を眺めていると、急に青空が見え出した。

慌てて小屋に引き返して家内を呼びに行く。

あっという間に晴れてきて、槍ヶ岳がくっきりと見えるようになった。



逆さ槍もくっきりと見える。



槍ヶ岳山頂と槍ヶ岳山荘もくっきりと見える。

正面には西鎌尾根が槍へと続く。

その右は飛騨沢カールだろうか。

飛騨乗越まで登山道が続いているのが見える。

槍ヶ岳は、約200万年位前から60万年前くらいに、火山カルデラが隆起したといわれている。

北アルプスは富士山よりもはるかに大きな火山だったようだ。

巨大なカルデラ内に厚さ1500mも堆積した溶結凝灰岩の岩層。

槍、穂高岳はそれによって山体のほとんどが造られている。

天を突く三角錐の山頂は日本で最も代表的な氷食尖峰。

硬い溶結凝灰岩で出来ており、長い期間の侵食に耐えてきた。

自然の造形美に感嘆する。



またガスが巻いてきて寒くなった。



寝室や談話室にはストーブが置かれているがそれでも寒い。

家内はまだ気分が悪いらしいが、熱いコーヒーを飲んだら少し良くなったようだ。

私は体が温まったので生ビールを一杯。

保険会社から山荘に電話が入って、私達が到着しているか確認があった。

安い保険料なのに、きちんとフォローしているのが素晴らしい。



ストーブで歓談していると、小屋のスタッフが「槍が焼けていますよ」と教えてくれた。

急いで外に出ると、槍が真っ赤に燃えている。

素晴らしい光景を見ることが出来た。



5時半から夕食。

すごいボリュームだ。

品数も多い。コロッケやシュウマイそして春巻き、から揚げなどがおいしい。

おまけにトロロ天ぷらうどんまである。

しかし、家内は食欲がないと言ってコロッケを食べただけ。

これでは、明日も大変と言っても食べようとしない。

変に頑固なのには困ってしまう。



食後、外に出ると槍ヶ岳山荘の明かりが浮かんで見える。

月も出ているが雲も多い。

明日は、穏やかな天気であることを願いながら7時には熟睡。

鏡平山荘から笠ヶ岳へ

笠ヶ岳から新穂高登山口へ


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