秋の里山 笠ヶ岳(2897.8m) 2016.10.12~14
ホームページ 里山倶楽部四国 

- やっと登ることが出来た笠ヶ岳 -

笠ヶ岳山荘から笠新道経由で新穂高温泉登山口へ




朝4時過ぎには、あれ程吹き荒れていた強風も収まった。

まだ雲は多いが、晴れそうな予感。



5時過ぎには朝凍っていた窓ガラスの氷が溶けてきた。

外に出ると気温は-2度。



南アルプスが見えている。

甲斐駒の向こうにぼんやりと富士山が見えている。



朝ごはんは6時から。

簡素だが私には十分。

生卵かけご飯が美味しかった。

今日は下山するだけの人が多くて皆さんのんびりとしている。



やはり水は凍って出ない。

無料のジャーの水をペットボトルに入れてポカリ粉末を加える。

お茶やお湯は400円。

6時35分出発。



山荘の前には双眼鏡が備え付けられていて無料。

槍の穂先を見るともう数人が登っている。

写真では人影は写っていない。



笠ヶ岳にお別れ。

山頂を見上げると青空が見えてきている。

焼岳や乗鞍岳そして甲斐駒などの南アルプスと富士山が見えている。



サヨナラ笠ヶ岳

抜戸岳へ向けてゆっくりと登って行く。



黒部五郎岳、薬師岳、剱岳、立山、赤牛岳、雲ノ平、水晶岳等思い出の山々を見渡せることが出来る。



高山盆地から仰ぐ北アルプスの延々と続く山並みの中で、ひときわ均衡のとれた美しさを見せるのが笠ヶ岳だ。

北アルプスのどこから眺めても一見してそれと分かる山で、昔は迦多賀岳、肩岳と呼ばれた。

また大(おさ)ヶ岳ともいわれていた。

北アルプスのほとんどの山が県境の山だが、笠ヶ岳は全く飛騨の山で、名実ともに岐阜県内の最高峰だ。

丁度笠ヶ岳山頂の向こうに高山の街がある。

乗鞍岳の手前が最初に笠ヶ岳の美しい姿を見た平湯温泉だ。

笠ヶ岳コールドロンは中尾層、笠谷層、穴毛谷層、笠ヶ岳山頂溶結凝灰岩層から出来ている。

6500万年前にできた地層らしい。

その頃は、白亜紀末で徳島の青石の産地である三波帯の地層が地下30㌔深くに出来た頃だ。

また巨大隕石がユカタン半島に落ちて恐竜などが死滅した頃でもある。

二億年もの長い期間地球の主、王者として君臨した恐竜が鳥類にその血を残し絶滅した。

今自由に空を飛んでいる雀やワシ・タカ類はその恐竜の血を引き継だ子孫だ。

その頃日本はアジア大陸のヘリの一部であり、激しい火山活動が続き、地殻変動により日本列島ができ始めた。

その頃に出来た巨大カルディアが大陸から切り離され、その後隆起して台地となる。

その後、氷河などの浸食作用により、氷食尖峰である笠が岳が出来たと思うと、時の流れの深さを感じる。



右側は深い谷。左側にはハイマツ帯。

快適な稜線歩きを続けると抜戸岩に着く。



遥か左奥に能登半島と富山湾が見える。



剱岳と立山がくっきりと見える。



もう次には来ることが出来ないだろうから、笠ヶ岳の姿を目に焼き付けておく。



笠新道分岐に着く。

7時58分



一旦岩場を登り杓子平に向けて降りていく。



雷鳥の親子が3羽遊んでいた。

半分白い冬毛になっている。

もこもこの白い足が可愛い。



杓子平への道は予想に反して緩やかで歩きやすい。

美しい草紅葉の向こうに笠ヶ岳からクリヤ谷へと下る稜線が見える。

凸凹の真ん中の丸いピークがクリヤノ頭だろう。



緩やかな平原が広がる。

杓子平に着いたと思うが看板がない。

あるのはキャンプ禁止の看板。

笠新道は長いのにキャンプできれば良いのにと思う。

昨日前後して歩いた男性二人連れが休んでいる。

素晴らしいカールの草紅葉。

少し休んで9時24分出発。



素晴らしい眺望。

青空と白い雲が、険しい岩の笠ヶ岳と草紅葉の広がる杓子平の美しさを引き立てている。

笠ヶ岳直下には、笠ヶ岳コールドロンの地層の縞模様がくっきりと見える。



杓子平から抜戸岳南稜尾根を越えると、槍ヶ岳が目の前にそびえ立っている。



槍ヶ岳から大キレットへ続く稜線は、笠ヶ岳から弓折岳への稜線とは全く違った様相で厳しい。



ずっと一緒に歩いている名古屋の男性も感激している。

大きな岩がゴロゴロしている道を下る。

石切場から切り出したように四角い岩なので歩きやすい。

しかし、ルート取りがややこしい所もあり、○や×などのペイントを参考に下っていく。



目の前に素晴らしい槍穂高の姿を見ながらの下りは楽しい。

ドンドン登山者が登ってくる。

若い人たちが多いが、皆ゼイゼイと息を切らしている。

やはりきつい道のようだ。

所が、大きな岩が多くなり乗り越えていくのに苦労するようになる。

これはキツイなあと思って下っていくと若い女性が休んでいる。

「私も間違ったのだけれど、この道は違いますよ。」

言われて左を見ると、少し向こうに岩道が見えて、先程の男性二人が降りていくのが見える。

ちょっと苦労して、いくつも岩を乗り越えて本来の道に戻る。



しかし、どこまでも続く岩道にうんざりしてくる。

足を踏み外さないように緊張して歩くため精神的に疲れてくる。

そのうち太ももまでプルプルしてくる。



途中で昼食を取り、更に下ると杓子平まで半分の看板。

11時49分着。

標高1920m  杓子平まで1時間半と書いてある。

私たちは杓子平から降りてくるのに、2時間20分もかかっている。

私達が登りに使ったら、ここから杓子平まで3時間位掛かりそうだ。

とすれば、笠新道登山口までまだ2時間以上掛かりそうだ。

気をつけて降りていたが、家内がまた滑って転倒した。

捻挫や骨折はしなかったが、頬を木の枝で切った。

後はより慎重に下る。



どこまで続くのかと思う岩の道。

途中で、笠ヶ岳山頂でお会いした若いカップルが追い抜いて行った。

所々で、新穂高登山口の満車状態の駐車場が見えて、川の音が大きくなるがまだまだ遠い。

そのうち壊れた小さな梯子がいくつも出てくる。

やっと岩道が終わり、普通の歩きやすい登山道になると紅葉が奇麗だ。



ブナの紅葉が素晴らしい。



もう少し下ると、コシアブラやミズナラの紅葉もきれいになる。



暫く紅葉の撮影タイム。

青空にブナの黄葉が黄金色に輝いている。



やっとの事で、笠新道登山口に到着。

13時37分。

杓子平から4時間10分もかかっている。

笠ヶ岳山荘から7時間だ。

丁度標準コースタイムの2割増しだ。

抜戸山の分岐から、水平距離4キロで標高差1.4キロを降りたことになる。

ホースから水が勢い良く出ていて、頭から冷たい水を被り顔を洗う。

水を飲むと冷たくて美味しい。

ついゴクゴクと飲んでしまう。

7月に下痢したばかりだと言うのに学習効果がない。

しかし、わさび平から引いているという水はたくさん飲んでも大丈夫だった。

休んでいると、笠ヶ岳山荘で一緒だった人達が次々と降りてくる。

私達は随分と下るのが遅かったと思っていたが、若い二人に追い抜かれただけだった。

ネットなどでは随分と早いレポートが多いが、実際には皆さんも結構時間がかかっているようだ。



疲れたがもう急ぐことはない。

のんびりと林道を下っていく。



振り仰ぐと、降りてきた急斜面が青空に伸び上がっている。

あそこから降りてきたんだと思うと感慨深い。



青く澄んだ流れを見ながら歩いているとお腹が空いてきて、岩に座って行動食を食べる。

今回も沢山非常用食料が余ってしまった。

しかし、天候の急変等で山小屋に着けない等のトラブル時用に非常食は欠かせない。

非常食が余ったと言うことは、トラブルがなくて良かったと思わなくては。



新穂高ロープウェイは、ギュウギュウ詰めの満員。

今日は天気が良くて素晴らしい眺望に、皆さん感激の声を上げたことだろう。

私は今まで二回乗ったがガスで視界ゼロだった。



センターでトイレをお借りして、冷たいリアルゴールドを一気飲み。

下山届はスマートフォンからワンタッチ。

駐車場へ向かうと、若い男性から、槍へ登ったが素晴らしい眺望だったと、興奮して話しかけられた。

苦労して登って素晴らしい眺望を楽しむことが出来たのは、忘れられない思い出となるだろう。

帰りに何時もの平湯温泉で疲れを癒やす。

後は、高速を一路徳島へ。

鳴門インター通過を、高速割引となる0時に時間を調整してユックリと帰る。

次の日は脹脛と太ももが張って、階段を降りるのに苦労したが二日後には回復した。

家内は帰ってから38度の熱が出たが翌日には平熱となった。

登山前日の寝不足と初日の急な気温低下に、風邪を引いたのかもしれない。

頬の傷も大したことがなかったが、転倒時にクルブシを打ったのか真っ黒なアザが出来たが痛みなどはないようだ。

年齢的にアルプスの山歩きは年々厳しくなるが、来年もなんとかまたアルプスの山歩きを楽しみたいと思う。





総歩行距離 33.4㎞

累計標高差 ±3,012m

総歩行数  1日目 19,066歩 2日目 14,848歩 3日目 25,092歩 合計 59,006歩



新穂高温泉から鏡平へ

鏡平から笠ヶ岳へ





ホームページにも是非お立ち寄りください