秋の里山 槍ヶ岳      2017.09.25
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槍沢ロッジから槍ヶ岳へ 秋空に聳える槍の穂先で絶景を楽しむ -

上高地から槍沢ロッジへ



秋空に聳える槍の穂先に向かって登り詰めていく。

夕べは7時過ぎには熟睡した。

私の鼾が大きくなると腕を突くように家内に言ってあった。

夜中に3、4度突かれたような気がするがグッスリ寝る事が出来た。

3時過ぎに星が綺麗と起こされる。

流石アルプスの星空は綺麗だ。

余り長い時間眺めていたのでスッカリ体が冷えてしまった。



4時前にリュックなどを土間まで出して出発準備をする。

お茶は夕べのうちにペットボトルに入れてある。

お弁当はお昼ご飯にすることにして、持ってきたカツパンをテーブルで食べる。

寒いのでダウンを着込んで出発。

4時36分。

槍沢ロッジから槍ヶ岳山荘までは5.9㎞。標高差は1,260m

普通の登山なら3時間余りで登ることが出来る距離だ。

しかし、槍ヶ岳はそう甘くない。

前回は5時間34分かかった。



もうすでに何人かは出発しているようだ。

真っ暗な山道だがヘッドライトの明かりを頼りに登って行く。

一度登っているので大体の感じが解る。



槍見岩を過ぎて、5時12分 ババ平のキャンプ場着。

標高 1,998m

トイレや水場が出来ている。

テント泊の人達はまだ起きていないのか真っ暗。



赤岩沢2,010mを過ぎて大岩沢2,030m通過。

段々明るくなってきた。



五郎沢2,060m通過

5時33分。

昨日痛かった足指は登りなので痛くない。



正面に東鎌尾根のギザギザが見えてくる。

岩ごろごろの歩きにくい道だ。

前回は雪渓が残っていて、とても歩きやすかったのだけれど。



朝焼けで稜線付近が赤く染まってくる。



大曲に到着。

此処から右へと谷を登ると東鎌尾根の水俣乗越に着く。

その水俣乗越を乗り越えて更に下って行くと、北鎌尾根に登ることが出来る。

黄色い看板は、実力を過信して北鎌尾根に行かないように注意書きがある。



大曲からは左へと曲がっていく。

此処も前回は大きな雪渓が広がっていた。

モルゲンロートで山が燃えている。



ハクサンフウロやニッコウキスゲがまだ咲き残っている。



ナナカマドの赤い実が綺麗だ。

ツバメ岩が正面に見えてくる。



ほんの少しだが雪渓が残っている。



カラマツソウやウサギギクも咲いている。



槍沢の左岸を登って行く。



ツバメ岩の右に南岳が見えてくる。



6時40分頃になると槍ヶ岳からの下山者が多くなる。

挨拶をするのに途切れる事が無くて一寸大変。

前回はこの辺では快調に登った気がするのに今日は足が重く息切れがする。

昨日寒い所でお酒を飲んでいたので、風邪を引いたのか鼻水が出て止まらなくなる。

鼻水ズルズルだとどうも具合が悪い。



天狗原の分岐に着く。

6時49分。

此処まで2時間13分程かかっている。

今日は天狗原に向かう人の姿は見えない。



紅葉が綺麗になってくると滝見岩に着く。

2,415m



中岳から東へと延びる稜線の手前に流れ落ちる滝が見える。

天狗原の氷河公園辺りから流れ落ちているのだろうか。



ゴロゴロ岩を登って行く。

綺麗な水が流れ落ちる最終水場に着く。

冷たい水で顔を洗いゴクゴクと飲む。

何とも言えない程美味しい。

今日は用意した水はまだペットボトル一本も飲んでいない。

冷たい水に入れ替える。

この登山道では水は余り必要ないと知っていても矢張り沢山担いで来てしまった。

水が無くなってバテた時の経験が頭から離れないからだ。



前回はこの辺で家内が気分が悪くなりペースが落ちた。

今日は私の足が重い。

黄葉が綺麗な所を過ぎるとグリーンバンドと呼ばれるハイマツ帯となる。

前回は此処でオコジョに出会った。



歩きにくい道を黙々と登る。



7時54分 突然槍ヶ岳がその姿を現す。

暫く槍を見上げながら登って行く。

坊主岩屋で食事にしようと思っていたが中々着かない。。

堪らず途中の岩に腰をかけて食事にするが何故か食欲が湧かず少し箸を付けただけとなる。

夕べ寒い所でお酒ばかり飲んでいたからだと叱られる。

気温が上がってきて20度もある。



槍ヶ岳まで1.25㎞のヒュッテ大槍への分岐を過ぎて、8時33分坊主岩屋に着く。

2,696m。

槍ヶ岳山荘まで後標高差400mだ。



外人が大勢降りてきて家内と私にハイタッチをする。

陽気な人達だ。

岩屋の中に潜り込んで喜んでいる。



岩場にはイワギキョウが咲いている。

花の少ない季節に気持ちを和ませてくれる。



ウラシマツツジの紅葉が鮮やか。

チングルマの綿毛が風に揺れている。



7月にはこの辺一面雪渓が広がっていた。

今日はほんの少し残っているだけ。



歩きにくくて靴擦れがまた痛くなる。

槍ヶ岳の素晴らしい姿が私達を待っている。

空はあくまでも青く雲一つ無いが、また前のように山荘に着く寸前で雲が出て眺望が無くなる事が心配だ。

家内は今日は調子が良い。

ドンドン先に行って殺生ヒュッテ分岐でノンビリと腰をかけて私を待っている。

9時4分着。



後700m地点。

右に殺生ヒュッテが見えている。

前回はこの辺で天候が急変した。



ウラシマツツジの紅葉が鮮やかだ。

最後の急坂に差し掛かる。

頑張らなくては。



振り返ると富士山だ!



汗びっしょりになって大天井岳分岐を通過。



ジグザグ道に差し掛かるともう山荘は目の前。

不思議な事に足が軽くなる。

10時11分 やっとこさで槍ヶ岳山荘着。

槍沢ヒュッテから5時間半程かかった。

前回は家内が軽い高山病になり遅くなったが、今日は私がだらしなくて同じ位時間が掛かった。

家内も最後は苦しかったらしく、珍しく私に握手を求めてきた。

昨年から急に体力低下が感じられるようになったが無事登る事が出来て良かった。



幸い天気も最高だ。

雲が出る前に槍の穂先に登らなくては。

早速チェックインするが、まだ到着している登山者は少ない。

一番手前の部屋で一人布団一枚で寝る事が出来ることになった。

奥穂高山荘はモンベルカードを出すと500円の飲み物カードがもらえる。

コーヒーでも飲んでユックリしてから登ろうかとも思ったが矢張り雲が出るのが怖い。

直ぐに登る事にする。



槍の穂先を眺めると頂上に数人の姿は見えるが、登り降りしている人影は無い。

昨日の日曜日は鈴なりの人だったと思われるのだが。

渋滞しなくて良いが先に人が居ないとルートが解るか心配。



登る前にテラスから登ってきた槍沢の眺めを楽しむ。

左端には常念岳の端正な姿が見える。

真ん中のピークにヒュッテ大槍が見えている。

その下には殺生ヒュッテ。



山荘の裏には双六岳へと続く西鎌尾根。

途中から右へと伸びている茶色の尾根は硫黄尾根。

奥には双六岳から三俣蓮華岳そして水晶岳へと続く裏銀座の山並み。

その奥に聳えるのは薬師岳。

二年前に辿った裏銀座の山歩きが思い出される。




11時3分 山荘を出発。



岩は乾いていて角も確りとしていて不安は無い。



第一梯子の上から振り返る。

大喰岳から穂高連峰へと伸びる稜線はこの角度から見たのが一番綺麗かな。



ボルトが埋められている岩を登る。

前回は軽々登れたが、今回は少し腕に力を入れないと足が届かない所があった。

家内はスイスイと登って行く。



30分程で山頂着。

山頂には5人程が眺望を楽しんでいる。



穂高連峰



眼下に小槍が見える。

あの頂上でアルペン踊りを踊るとは。

私には絶対無理。

登る事さえ出来ない。



大天井岳から常念岳への山並み

手前は東鎌尾根。



グラグラで三角点の機能を失っている二等三角点「槍ヶ岳」3179.5m



中央奥の双六岳の更に奥に黒部五郎岳の山頂が覗いている。

右奥は薬師岳。



樅沢岳から笠ヶ岳へと続く稜線も素晴らしい。

去年の秋に笠ヶ岳に登った事が思い出される。

中央下の台地状の所に赤い鏡平山荘が小さく見えている。

(元画像には写っているが縮小しているので見えない)

鏡池から見た逆さ槍は綺麗だったなあ。



大天井岳が見える岩に座って心ゆくまで眺望を楽しむ。

前回は同じ岩に座って長い事待ったが、とうとう雲は晴れなかった。

今日は最高の眺望だ。

思い切って槍ヶ岳に来て良かったなあ。

満足。

平凡なメタボな私と運動には全く縁の無かった家内が、日本の天辺の地でこのように素晴らしい景色を見る事が出来るとは。

不思議でまた幸せだ。

ノンビリと景色を楽しんでいるうちに少し雲が湧いてきた。

やはり、綺麗に晴れるのは午前中だけのようだ。



ガラガラだった山頂に夕べ槍沢ロッジで同宿だった人達が次々と登ってきた。

晴れて良かったですねと御挨拶して下山開始。



下を見るとまるで垂直のように見える。



下りで少し家内が手こずっていたら、親切な男性が足の置き所を家内に指導してくれた。

ありがとうございます。

12時49分山荘に戻る。



降りてから生ビールを買いに行ったら売れ切れだった。

仕方が無いのでテラスに座って、缶ビールを飲みながら槍の穂先へと登る人達を眺める。

いつの間にか登頂者が増えていた。



ヒュッテ大槍とテント場

所がビールを飲んでいるうちに突然眠くなった。

となりの若い女性がビール美味しそうですねと話しかけてきたが、そのまま寝てしまった。

暫くしてお腹がすいたのと足下から吹き上げてくる風で目が覚めた。

なんだか寒気がする。



いつの間にか雲が湧いてきていた。



凄い勢いで雲がわき上がってくる。



常念岳に笠雲が出来ている。

遅い昼食にしようと部屋に帰って、ちょっと横になるとまたストーンと寝てしまった。

夕食の放送で目が覚めて缶ビールを買って食堂へ行く。

所が、急に吐き気がしてきた。

お腹がすいているが、ハンバーグの匂いに胸が悪くなり食べる事が出来ない。

ビールも飲む事が出来ない。

何時もはハンバークが余り好きで無い家内が美味しいと言って食べている。

逆にハンバーグが大好きな私が箸を付ける事も出来ない。

少しのご飯とお味噌汁そして梅干しを食べて部屋に帰る。

慈恵医大の診療所に行ってみるがシーズンオフで閉まっていた。

山荘に帰ってくると、家内が昨夜の年配の男性に「今から頂上に登るのは無理かなあ」と話しかけられていた。

槍沢ロッジまででもヨレヨレだったのに、ユックリユックリと登ってきたらしい。

何時間掛かったのだろうか、凄いなあ。

まだ寝るのは早いので、ビールをCCレモンに替えてもらって談話室で飲んで少し休む。

それでも吐き気が収まらないので、風邪薬とロキソニンを飲んで寝る事にする。

どうも軽い高山病にかかったようだ。

今まで3000m級の山に何度か登っても何ともなかったのに。

鼻水が出て呼吸がしずらくなって酸欠になったのかもしれない。

山頂について直ぐ寝ると高山病にかかると言うが。

まあ明日は帰るだけなので何とかなるだろうと思っているうちに寝入ってしまった。



また家内が3時過ぎに星が綺麗だと言って私を起こす。

確かに綺麗だがもっと寝ていたいのに。

しかし、夕べあれほど胸がむかついていたのが直っている。

コンパクトデジカメでは星空は綺麗に撮れないのでまたすぐ寝る。

4時半頃スッキリとして目を覚ます。

もう皆さん朝食に行列している。

私達はお弁当を持って出発。

夜が明け始めている。



朝日を見るために大勢がテラスに出ている。



なんと昨日遅く着いた例の年配の男性がヘッドランプを点けて頂上に向かっている。

なんとまあ根性があるというか恐れ知らずというか。

写真では少し明るく写っているがまだ真っ暗。



5時20分 少し明るくなってきたので下山開始。



槍ヶ岳よさようなら!

次にまた来る事が出来るかどうか?

名残惜しいが帰る事にする。



草紅葉が綺麗だ。



横道岳の上辺りから朝日が昇ってきた。



大喰岳や槍の穂先が朝日に照らされて焼けてきた。



朝日に照らされて草紅葉が一際美しい。



また名残の槍ヶ岳を振り返る。

気温は意外と高くて11.4度。

3000m近い山の早朝の気温とは思えない。



今日も天気が良い様だ。濃紺の空が広がってきた。



咲き残りの花たちにもお別れ。



チングルマの綿毛も今年は見納めかな。



朝の空気の中でいっそう綺麗に見える。



坊主岩屋を過ぎてドンドン下っていく。



また靴擦れが痛くなってきたが気にしないようにして歩く。

滝見岩に座って朝食。

朝食を食べてから降りてきた人達がドンドンやってくる。



天狗原に向けて大勢が歩いている。

家内も行きたがるが勘弁して貰う。

足指が痛くなければと思うと残念だ。

どうも小指の爪が剥がれかけているようだ。



ハクサンフウロも下りは余裕なので昨日より綺麗に見える。



岩の上に沢山猿が居る。

襲っては来ないだろうが一寸怖い。



雪渓の上にも沢山の猿が集まっていて何か食べている。



綺麗なウサギギクとハクサンフウロ

オオカメノキの赤い実を食べに沢山の猿が登山道に居る。

いよいよ怖くて皆さん猿が食べ終わるのを待っている。



昨日は暗くて見えなかった赤沢岩通過。



ババ平に着く。

今日は登山者が少ない。



ドンドン皆さんに追い抜かれる。

私達はただでさえ下りは遅いのに、足指が痛いのでいよいよ遅い。



槍見岩に来る。

この岩の上に立てば槍の穂先が見えるそうだ。



槍沢ロッジで休憩。

ここまで4時間40分もかかった。

それでも今の私にとっては精一杯。

靴を脱いで靴下を替えようかとも思うが、靴擦れや爪の剥がれたのを見るのが怖いのでそのままにする。

ロッジのセルフサービス100円のコーヒーが美味しい。



横尾に着いて少し早いが昼食にする。



女性の登山者が多いと思ったら皆さん涸沢に紅葉を楽しみに行くらしい。

食後出発するが気温は21.4度とまるで夏の気温。



何時ものように徳沢園のみちくさ食堂でソフトクリームを購入。

有名なだけあって味が濃くて美味しい。



明神に着いてまたC・Cレモンで休憩。

横尾から前後しながら歩いてきた人達も足が痛いと言っている。



あと少しなので頑張って歩く。

14時24分 河童橋着。



3時1分 バスターミナルに帰ってきた。

丁度、平湯行きのバスが出たばかり。

冷たい水で顔を洗い下山届けをスマートフォンで出してバス停に並ぶ。



新宿行きなどのバスが次々と出て行く。

3時30分のバスは満員で待っている人の半分も乗れなかった。


あかんだな駐車場に着き、駐車料金1800円を払って何時もの平湯温泉へ。

乳白色の温泉で体の疲れを癒やすが、3本の足指の爪に血豆が出来て剥がれそうになっていた。

後は、ひたすら高速を走り、定番のカレーを食べて時間調整をして、12時過ぎに高速を降りて12時半には自宅着。

水割りを2杯程グッと飲んで就寝。

次の日は痛い足をヒコズってボランティアへ。

ほっといても直るだろうが、痛くて歩けなくなったので、昨日、今日と病院へ行って血豆をつぶして貰う。

今回の山歩きは急で事前の準備も十分に出来なかった。

何故か靴擦れや高山病になり我慢を強いられる所もあったが、素晴らしい秋晴れの天気に満足した。

体力低下が著しい中、気になっていた槍ヶ岳に再度登る事が出来た。


出来れば冬の間に体を鍛えて、来年も日本アルプスの山歩きを楽しみたいと思う。

下山してから2週間たって、左足の親指と次の指と中指の3つの指の爪が根元から剥げてしまった。

逆に痛かった小指と次の指は血豆が出来ていたが爪は剥げなかった。

今回は体にトラブルが多かったが、年齢を重ねると過去には考えられなかったトラブルが増えてくるものと思われる。

この三連休の北アルプスでの遭難を見ると、秋の良い天気なのに疲労で下山出来なくなり救助された高年者が多かった。

今後十分に留意しなければと思う。





総歩行距離 41.2㎞

.累計標高差 ±2,213m


上高地から槍沢ロッジへ

 


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