夏の里山 白馬岳 雪倉岳 朝日岳 周回    2016.07.20
ホームページ

- 白馬山荘から雪倉山経由朝日小屋へ -


日本アルプスの山旅

蓮華温泉~白馬大池  7/18 
白馬大池~白馬岳~白馬山荘 7/19 
白馬岳~雪倉岳~朝日小屋  7/20 
 朝日小屋~朝日岳~蓮華温泉  7/21

今日は長丁場となる。

3時半頃起きて出発の準備をする。

今回失敗したことがある。

徳島の山歩きでは、真夏には水を二人でペットボトル6本持っている。

しかし例年7月のアルプスでは、涼しいのと山小屋があるので二人で4本で十分だった。

しかし今回は、2,932mの白馬岳から最低鞍部1,100mへと、アップダウンしながら下らなければならない。

しかも今日、明日は途中に水を入手できる山小屋などはない。

まあ下りだからそう汗をかかないと思うし、地図には何カ所か水場の印もある。

しかしこの考えが甘かった。



午前3時56分出発。

また白馬岳山頂に向かう。



朝早いというのに気温は12.3度。

3,000m近い標高で早朝に、この温度はとても高いと思う。

今日も暑い一日かなあ。

剱岳の右にまだ月が出ている。



4時16分白馬岳山頂着。

先行者の方が大勢居るかと思ったが、頂上はひっそりとしている。



剱岳方向はまだ暗いが、東の空が赤くなってきた。



三国堺に向けて降りていく。



賑やかに降りて行っている二人の女性に追いつく。

お二人とは、今日一日ずっと一緒に歩くことになる。



雲海の上に微かに見えるのは富士山か。

その右には南アルプスの山々がそびえている。



朝日が昇ってきて、富士山がクッキリと見えるようになった。



綺麗な朝日を見て、身も心もリフレッシュする。

今日もいい天気になりそうだ。



三国堺に着き、雪倉岳に向かって降りて行く。



瓦礫帯にはコマクサが咲いている。

土の有るところまで、長い根を伸ばしているのだろう。

振り返ると白馬岳に日が当たり綺麗だ。



遠くから見て綺麗に見えるのは、白い砂礫帯の中にハイマツ帯の緑がクッキリと分かれているから。

こんなところにツマトリソウが咲いている。



あれっこんな近くにライチョウの夫婦が居る。

雌はチョコチョコとハイマツの中に隠れたが、赤い瞼の雄は雌を守るためかじっとしている。



タカネマツムシソウやシラウマオウギが朝日に輝いている。



白馬特有のザクという礫地帯を進む。

ドンドン下って行って振り返ると、白馬岳の右に旭岳が見えるようになる。



イブキジヤコウソウも咲いている。



6時2分 鉱山道分岐に着く。

この辺は黒ザクと言うらしい。

ここから蓮華温泉に降りることが出来る。

唯一のエスケープルートと言うところか。

途中に昔の塩谷精練所跡があるらしい。

銀鉱山跡であり、天保のころまで採掘が行われていた。

また最近まで鉛や亜鉛を採掘していたらしい。

この鉱山道は、不明瞭な箇所も多く、長距離(8.5㎞?)である。

最初のガレ場で既に道を見失うと蓮華温泉まで下山しきるのは、極めて至難の業となるらしい。

7月7日に草刈りしましたと書いてある。

大変なご苦労だろう。



ミヤマムラサキの咲き乱れる砂礫帯を、ドンドン下って行く。



ハクサンコザクラ、ハクサンイチゲ



ミヤマキンポウゲ、チングルマ



コイワカガミとミツバオウレン



イワイチョウとウラジロナナカマド

コースガイドには、この辺で花に夢中になると、朝日小屋にたどり着かなくなるので注意と書いてあった。

しかし花が多いのに驚き。



雪渓の後でザレタようなところを通過し、ドンドン下る。

左には鉢ヶ岳がそびえるが、トラバース道を進むようになる。



不明の花



母娘連れのお母さんが娘さんから、同じ花ばかり写して歩くのが遅いと怒られている。

私も同じようなもの。



ミヤマキンバイとウサギグサ



タテヤマリンドウかな。



今度は少し登りとなる。



雪倉山の鞍部に避難小屋が見えてきた。



クモマスミレ?とクルマユリ



ミヤマツメクサとムシトリスミレ

ムトリスミレは、秋に黄色くなった葉が特徴的だが、花が咲いているのは日本では初めて見る。

カナディアンロッキーでは沢山見た。



黒いユリの蕾が有ったのでクロユリの蕾かとよろこぶ。

母娘連れのお母さんから、葉を見るとクルマユリの蕾だと教えていただきました。

お二人は香川の坂出から車を飛ばして、全国の山を歩いているらしい。



タカネミミナグサやミヤマシオガマも咲いている。



タカネマツムシソウも花が大きい。



マルバイワガサとタカネバラ



タカネナデシコとカライトソウ



ミヤマアズマギクも他ではあまり会えないが、此処では咲き放題。



雪倉避難小屋は立派な建物。



トイレもあり、かなり大勢が泊まることが出来そう。

しかし、あくまで避難時用で、通常泊まりで予定してはならないとされている。

年長者の男性が足を挫いたとのことで、二泊目だとおっしゃっていた。

小屋の前で朝食。

鮭弁当なのだが、家内は食欲がないと言ってほとんど食べない。

頑固なので言い出したら聞かないので困る。

若い女性がやってきて少し休んで出発した。

私たちも出発する。



雪倉山の登りにも、チシマギキョウやタカネマツムシソウなどが満開。



あっ、コバイケイソウが沢山咲いている。

この縦走路は本当に花が多彩だ。



この辺はランの仲間が多い。



ムカゴトラノオとタカネシュロソウかな。

ハクサンフウロも。



オヤマソバとクロトウヒレン



ミヤマトウキとタカネバラ



振り返ると白馬岳と旭岳が綺麗だ。



こんなところに今頃ツクモグサ?が咲いている。

白馬岳の山頂近くには全く咲いていなかったのに、こんな所で出会うとは。



旭岳から清水岳に伸びる稜線は美しい。

その向こうに、剱岳や立山が顔を出している。



小蓮華山から白馬岳、そして旭岳のパノラマ



緩やかな傾斜のザレ道を登り詰めると雪倉岳2,611 m

8時5分着。



黒御影石のような立派な標識が有る。

雪倉岳は「雪」の字がつく日本の山のうちでは最も標高の高い山だ。

また、標高2,600m以上の山としては国内で最も北にあり、雪倉岳より北に、それより高い山はない。



暫くのんびりして下山開始。

ウラシマツツジにテントウムシが。



ガスって来た道をドンドン下る。



タカネバラがこんなに多い山も珍しい。



イブキジャコウソウもまるで絨毯だ。



こんな所に咲いていました、ミヤマアケボノソウ。

早池峰山にも咲いているらしいが、初めての出会い。



まだまだ下って行く。



ニッコウキスゲの群落が有った。

一日花なので、綺麗に咲きそろっているのを見ることが出来て嬉しい。



ミヤマウスユキソウやカライトソウを、楽しみながら下って行く。



ハクサンシャジンかな?



シモツケソウのピンクが鮮やか。

オオバギボウシも咲き始めている。



タテヤマウツボグサとシロウマアサツキ



香川の母娘と家内も花につられてウロウロキョロキョロ。



家内の好きなウメバチソウとシロウマタンポポ



ミヤマカラマツ。

ピンク色に見えるのは、花ではなく果序。



タカネグンナイフウロ



ピンクが鮮やかだから、どうしても目に付く。



ダイニチアザミだろうか?

タテヤマアザミだろうか?



やがて鞍部につき、目の前に見える赤男山の左をトラバースしていく。

チョウジコメツツジが可愛い。



トラバース道は最初は、なだらかで歩きやすい。

エゾシオガマかな。



オオコメツツジの花が沢山咲いている。

クロトウヒレンに花が咲いていた。

花が咲いているのに出会うのは少ないので嬉しい。



ニョイスミレやキヌガサソウも多い。



樹林帯を出るとガレ場になる。



此処が燕岩。

10時19分。

昔は、山壁に岩燕の巣が沢山有ったが崩壊したらしい。

岩が多く歩きにくい。



タテヤマウツボグサの咲く木道道を行く。



此処も花が多い。



コバイケイソウは、今年は見ることが出来ないと思っていたが、少ないながらも咲いている。



ミヤマダイモンジソウの花心が赤いのが可愛い。



此処は小桜原

10時47分。



湿田の木道を行くと水芭蕉が咲いている。

綺麗に咲いているのを見るのは久しぶり。



なんだか段々と、アップダウンのきつい道となる。

薄曇りなのに気温は24.2度もある。

蒸し暑くてのどが渇く。



朝日岳分岐に着く。

11時02分。

標高は2,000m程。

香川の母娘や追い抜いていった女性が昼食を食べている。

皆さんカップヌードルだが、この暑いのに熱いラーメンがよく食べることが出来るなあ。

私たちは、残りの弁当だが、家内はまた食べない。

怒っても、食べたら吐くと言って頑と食べない。

困ったものだ。

昼食後出発。

所が出発しようとすると、家内は自分でリュックを担げない。

痛めた手首が悪化して力が入らないと言う。

リュックを持ち上げて背中から担がせる。

コースタイムではあと1時間半位で、標高2,150m程の朝日小屋に着くはず。



今年は雪が少ないのか?殆ど残っていない。

雪でもあれば少しは涼しいのだろうけれど



今年初めてのサンカヨウの花にも出会う。



花は綺麗だが、アップダウンが多いのと暑いのが応える。



アカモノが咲いていた。

視界が開けると、朝日岳がそびえて見える。



オオバキスミレかなあ。



家内は順調に歩いている。



やがてロープ場が有ったり、アップダウンがいやらしくなる。

まだだ小屋は上方。



暑くて堪らなくなったところに沢が有り、冷たい水が流れている。

地図に水場と書かれているところだ。

沢の水は滅多に飲まない家内も美味しそうに飲んでいる。

私は頭から水を被り顔を洗う。

生き返る。

そしてガブガブと水を飲む。

甘くて美味しい。

そのうちに九州のご夫婦が追いついてきた。

喉が渇いていないのか、ちょっと口に含んだだけで先に行った。

また立ち上がる時も、家内はリュックを自分では担げなかった。

よほど手首が痛いのだろう。



その後、遙か上に見えている朝日小屋まで、アップダウンを繰り返しながら登っていく。

所が突然家内の足が止まった。

三歩進んで休憩の状態。

食事もあまりせずに暑い中を歩いてきたのだから無理もない。

休み休みして、やっと朝日岳登山道分岐に着く。

もう急ぐことはない。

木道に座って休憩。

涼しい風が吹いて気持ちが良い。

13時44分。

なんと昼食を食べた分岐から2時間半も掛かっている。

朝出発してからちょうど10時間位。

殆ど下りだと言っても疲れた。



14時ちょうどに朝日小屋に着く。



皆さんは既に到着していてビールなどで宴会中。

香川の母娘より1時間遅れたようだ。

部屋は6畳位に二人だけ。

しかし部屋は暑くて扇風機が回っている。

宿泊部屋に扇風機が回っている山小屋は初めてだ。

ビールを買って外に出るが、暑くて部屋に引き替えして飲む。

家内は消炎鎮痛剤を飲んで、黙って手首に湿布をしていた。



食事は4時半。

朝日小屋の食事は豪華。

唐揚げにゾバやネアガリタケなどが入ったおでん、そしてます寿司、デザートまで有る。

皆で食前酒で乾杯してから食事。

美味しい食事だが、家内は半分も食べられなかった。



食後少し涼しくなったので庭に出てまたビールを飲む。

しかし皆さん疲れたのか誰も出てこない。

小屋の後ろ奥は朝日岳。

目の前は前朝日岳

三角の建物はよく解らないが管理小屋らしい。

夜には明かりが付いていた。

テン場にはテントが少ない。



目の前には雪倉岳とその奥に白馬岳と旭岳



夕食後誰も庭に出てこない山小屋も珍しい。

今日はそれほど暑かった。

ウソだけが遊んでいる。



日が暮れてくると大勢が外に出てきた。



綺麗な夕焼けだ。

部屋に帰ると、有名な女主人の清水ゆかりさんから、家内の手が痛いのではないかと訪ねられる。

家内が手首に湿布しているのを見たようだ。

湿布をとってみると、手首が赤くなっているだけでなく、二の腕から肘までが紫色に腫れ上がっている。

二の腕から全体に湿布して、ジェル状の氷を付けた上をテーピングしてくれた。

何人かで触診したりして、折れては居ないだろうと言うことになった。

しかし、明日の朝までに改善が見られないようなら、ヒビが入っている可能性も有るかもしれないと。

後から私が呼ばれて、もし骨折していたらへりで運ばないといけない。

手の骨折と言っても馬鹿にしてはいけない。

この小屋から蓮華温泉までは、エスケープルートは無いし、健康な男性でも8時間掛かる。

岩などを掴まないといけないところも有るし、片手を吊ったままではリュックも担ぎにくい。

転倒する可能性も高い。

途中で歩けなくなったり遅くなったりすると、携帯も吹き上げのコル以外では繋がらない。

そうなってからの救助活動は大変だし、救助するまでに時間も掛かる。

そう言う訳で、骨折している場合は、此処でへりに救助してもらうので理解しておいてほしい。

これは大変だ。

明日4時半にまたテーピングをして戴けるそうなので、その時に様子を見ることする。

皆さんに大変な手間と心配をかけてしまった。

何故こんな事になったかよく考えてみた。

白馬岳の手前で家内が岩から転落した時、私が腕を掴んで家内はちょっと中吊り状態になった。

その時に腕をねじったようだ。

転落を助けるために、かなり強く掴んだのでその影響だろう。

家内は部屋に帰ると、布団に入って数秒で寝入ってしまった。

明日の朝には少しは良くなっていることを念じて、私も爆睡。





総歩行距離 12.3㎞

累計標高差 + 824m
        -1,492m
行動時間  9時間59分


蓮華温泉~白馬大池  7/18 
白馬大池~白馬岳~白馬山荘 7/19 
白馬岳~雪倉岳~朝日小屋  7/20 
 朝日小屋~朝日岳~蓮華温泉  7/21


ホームページにも是非お立ち寄りください