機械の進化は止まらない
夏の里山
蓮華岳 2,799 m
2014/07/22
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- 蓮華岳 コマクサの群生 -
針ノ木大雪渓の急登で力を使い果たしてつい寝込んでしまった。
自分のイビキで目を覚ますと15分ほど経っていた。
起きようとすると胸がムカムカして頭が重い。
高山病を発症したのか?
山小屋について直ぐ寝ると酸素不足になり高山病を発症しやすくなると知ってはいたが大失敗。
家内が、蓮華岳に登るのは明日にしようかと言うが、それではその後のスケジュールが厳しくなる。
雪渓で汲んだ水を飲んで出発することにする。
外に出ると槍や穂高方向はまだ霞んでいる。
後立山連峰は北端の親不知の断崖から白馬岳、五竜岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳へと連なり針木岳の南の針ノ木峠で終わる。
つまりこの峠が後立山連峰の南端と言われている。
これから登る蓮華岳は信濃大町から一番綺麗に見える山で蓮の花のように見えるので蓮華岳と名付けられているらしい。
頂上からは南へ蓮華の大下りで北葛岳、七倉岳そして烏帽子岳からの裏銀座縦走路へと繋がる。
この蓮華岳が後立山連峰の南端だという説もある。
此所から蓮華岳山頂へは1.5㎞ 1hと書かれている。
此所から南へと下ると針ノ木谷に出て平の渡し場から黒部湖を渡り五色ヶ原そしてザラ峠に続く。
佐々成政が、厳冬期にザラ峠を越え、黒部川を渉り、この針ノ木峠を越えて信州から浜松へ向かった。
ザラ峠から北へと稜線を行くと立山三山へと続く。
南へと行くと薬師岳を越えて長い縦走路の先には槍ヶ岳がある。
標識には五色ヶ原へ11㎞ 8hと書いてある。
11時46分 蓮華岳に向けて出発
平の渡し場への古い標識がある。
蓮華岳は比較的なだらかな山だと聞いていたが、なんの出足は急登が続く。
ハイマツの赤い実が綺麗だ。
ゴゼンタチバナやスイカズラ?が出迎えてくれる。
ミネカエデの花が満開
ベニバナイチゴの花も少し咲いている。
ナナカマドの花の下に針ノ木小屋
しばらく登ると胸がムカムカして足が上がらない。
お腹がく~うと鳴った。
そう言えば大沢小屋でヨモギ団子を食べただけだ。
シャリバテかもしれない。
見晴らしの良い道端に座り込んで昨日の夕食に出た「灰焼きお焼き」を食べる。
針ノ木小屋の向こうには針木岳が聳える。
頂上は右のピーク
随分と急峻に見える。
イワツメグサの咲く岩場を上がっていく。
まだ体調が回復せず苦しい登りだ。
男性が一人心配そうに私を見て追い越して行った。
岩場を回り込むとハイマツ帯になりピークが見える。
あれが蓮華岳山頂か?
ハイマツの中にはハクサンシャクナゲが沢山咲いている。
スバリ岳と赤沢岳の鞍部に剱岳が顔を出した。
平坦な道になったかと思ったらまだ岩場がある。
ピンクのコケモモが可愛い。
やっと稜線に出た。
先ほど食べたお焼きの糖分が頭の血管に回ってきたのか頭痛が消えた。
足も軽くなる。
コイワカガミのピンクが綺麗だなあ。
ミツバオウレンに似ているが葉が5葉だ?
高度が上がるとスバリ岳の右に立山が顔を出す。
灰色の岩屑の中にピンクのコマクサが咲いている。
この灰色の岩は濃飛流紋岩型の溶結凝灰岩だそうだ。
五竜岳や針木岳にも多く見られる。
溶結凝灰岩とは高温の火山灰が大量に厚く積もり,その内部で再融・圧密されて生じた岩石。
爆発的な火山活動に伴って発生した大規模な火砕流の堆積物中にみられる。
遠い昔、盛んな火山活動があったことが偲ばれる。
キバノコマノツメに似た黄色いスミレはクモマスミレ
キバナノコマノツメと同じように下唇が長く飛び出て先が三角状に尖っている花もあるが葉が違う。
クモマスミレのは刃先が少しとがっているがキバナノコマノツメの葉は馬の蹄のようにまん丸。
またミクモマスミレはキバナノコマノツメと違って葉に艶がある。
花柱も側弁の内側も無毛。
ミヤマキンバイも咲いている。
登るにつれてコマクサが多くなる。
コマクサが一面に咲いていて思わず立ち止まって撮影。
コマクサの向こうに針木岳とスバリ岳その向こうに立山
特に柵などは無いが花を踏まないように石を並べて登山道外の踏み込みを防止している。
コマクサの中に鮮やかな紅紫色の花の花が咲いている。
ミヤマシオガマだろうか。
ヨツバシオガマやタカネシオガマに比べて小葉が更に細かく切れ込んでいることで区別ができる。
イワヒバリが花を啄んでいる。
警戒心が薄いのか近づいても知らん顔をして食べ続けている。
先ほど見えたピークは頂上では無かった。
ピークを過ぎると平坦な道と成り高山植物が多くなる。
チングルマの群生もある。
ミツバオウレンとミネズオウ
珍しいヒメイチゲが咲いている。
アオノツガザクラとピンクのタカネヤハズハハコ
チングルマとミヤマキンバイの群生
頂上に向けて一旦緩く下って行く。
蓮華岳の頂上から右手へ蓮華の大下りと呼ばれる長く裾を引く尾根が北葛岳に向けて下っている。
緩やかに見えるが、標高差500mほどの滑りやすくて厳しい下りらしい。
ミヤマダイコンソウが花の盛りだ。
この花は直ぐに散ってしまうので中々綺麗な状態の花を見ることが出来ない。
いよいよ蓮華岳頂上に向かって登って行く。
ツガザクラの葉の中にツマトリソウが群生している。
ツガザクラも咲き誇っている。
かなり疲れてきたが砂礫帯を頑張って登って行く。
振り返ると偽ピークから今まで歩いてきた稜線とその向こうのスバリ岳と赤沢岳の奥に立山と剱岳が堂々と聳えている。
登るにつれてコマクサが増えてくる。
イワベンケイも新鮮な花が沢山咲いている。
タカネツメクサ
コマクサの咲き乱れる岩屑の道を上がりきるとお宮がある。
大町子供流鏑馬で有名な
若一王子
(にゃくいちおうじ)神社の奥宮がある。
熊野権現の神様のようだ。
頂上は更に奥にある。
12時37分 蓮華岳頂上着。
コースタイム1時間の所を1時間50分掛かった。
頂上は標識より更に奥にある。
頂上から蓮華の大下りを眺める。
この先に白いコマクサが咲く場所があることを後で知った。
左の写真は針木岳方向を振り返る。
右の写真は蓮華岳から更に東を眺める。
赤茶けた砂礫帯の中に踏み跡が続いている。
この先の尾根を辿って降りることが出来るのだろうか?
ガスが出てきて槍や穂高そして富士山なども見ることが出来ない。
二等三角点がある。
山頂でしばらく過ごしてから下山開始。
あでやかな蝶が飛んできてコマクサに留まった。
初めて見る蝶だ。
噂に聞くクジャクチョウのようだ。
うれしい出会いに感激。
急坂の下りで古傷の膝に違和感が出だした。
しばらくすると左膝を曲げると痛みが走るようになった。
家内から、ゴルフの打ちっ放しに3日も連続で行くからだとまた叱られる。
後少しなので我慢して下る。
15時11分針ノ木峠着
雪渓の上部が融け始めている。
雪渓は到着した時よりかなり後退したようだ。
雪渓の近くには誰もいない。
雪渓を見ていると、近くにいた男性から「
先ほどまで直ぐこの下に
熊がいた
」と教えてくれた。
2時頃に蓮華岳の方から出てきて雪渓を横切り、左の夏道の所でしばらくいて針ノ木岳の方に去って行ったらしい。
みんな大騒ぎだったらしいが怖いなあ。
小屋に帰ってとりあえず家内はC.Cレモン、私は缶ビール500㎖
缶ビールの350㎖も500㎖も同じ600円。
なぜなら500㎖は発泡酒だから。
ちなみに生ビールは1000円
ビールを飲みながら皆さんと話し込む。
広島から来た団体と山梨の団体は種池まで縦走するそうだ。
蓮華岳の登りで追い越して行った単独行の男性は宮城からこられたそうだ。
そして明日は蓮華の大下りから烏帽子岳まで行くいう二人連れの女性。
その他明日は蓮華岳や針木岳だけを登って下山するという方達。
今夜の宿泊はテント泊を含めて全員で50名くらいかなあ。
夕食は5時半から二交代制。
豪華な食事だが私は食欲が無い。
ご飯を半分くらい残してしまった。
夕食後、庭に出て夕焼けを楽しみにしてまた缶ビールを飲む。
しかし雲が多く夕焼けは見えなかった。
しかし、槍ヶ岳や奥穂高、前穂高などの山はくっきりと見えた。
此所から槍ヶ岳までは直線距離で22㎞。
槍ヶ岳の右には野口五郎岳の向こうに水晶岳。
部屋に帰ると皆さん19時には全員熟睡。
膝に湿布薬を貼って寝たが明日は大丈夫かな?
続く
2014.07.21
針ノ木大雪渓
針ノ木岳~新越山荘
里山倶楽部四国編
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