夏の里山 北アルプス 裏銀座縦走 Ⅱ     2015/07/21
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 烏帽子小屋 ~ 野口五郎岳 ~ 水晶岳 ~ 水晶小屋 -


  前夜 
 Ⅰ 烏帽子岳
 Ⅱ 水晶岳
 Ⅲ  双六岳
 Ⅳ 小池新道


3時過ぎに目を覚まして、今日も朝食代わりのおにぎり弁当を頂いて出発。

1リッター200円の水も補充する。

今日は、まず野口五郎小屋から野口五郎岳を経由して眞砂岳そして水晶小屋に向かう。

そして水晶岳の往復を予定している。

水晶小屋までの所要タイムは、エントツ山さんのレポートで6時間30分

私達なら7時間から7時間30分位かな?



朝はやはり冷える。

ダウンを着込んで出発準備

出発しようとしていると、男性が写真を写してくれた。

4時21分出発

水晶小屋へは11時30分から12時の間に着く予定。

(所が何故か大幅に予定時間が狂った??)

キャンプ場に向かって下りていく。



広いテント場だが、今日は二張りしかテントがない。

やはり天候が安定していないので、登山者が少ないのかな。



瓢簞池を過ぎると、シナノキンバイの立派な花が満開。



チングルマも此所ではまだ花の盛り。

三ッ岳に向かって登っていく。



振り返ると、朝日が昇ってきた。

モルゲンロートの山は美しい。



気持ちの良い朝だ。

今日は、水晶小屋まで殆どアップダウンがないと思われる。

快適な稜線歩きが楽しめることだろう。



振り返ると雲海が綺麗だ。



目の前に三ッが岳が見えてきた

振り返って、烏帽子岳とその向こうに立山を眺める。

烏帽子山は素晴らしい形をしているのだが、如何せん標高が低く遠くから見ると目立たない。



まだ気温が上がっておらず、快適な稜線歩きに気持ちもルンルンとなる。



槍ヶ岳が顔を出した。

前穂高や奥穂高の尖りも見えている。

表銀座の大天井岳やその向こうに、常念岳もクッキリと見える。



三ッ岳へは広い尾根を登っていく。

富士山の姿が顔を出した。。



砂礫帯の足下に、コマクサやヨツバシオガマが咲いていて、つい足を止めてしまう。



日が昇ってきて、赤牛岳や薬師岳が美しい。

振り返ると雲海も綺麗だ。



山の石柱を通過



三ッ岳からの眺望拡大図

赤牛岳から薬師岳、立山、烏帽子岳その向こうに後立山の山々が素晴らしいパノラマで見ることが出来る。



後立山をズームアップすると、白馬岳や鹿島槍ヶ岳もびっくりするほどクッキリと見えているこ。



雄山の天辺の神社までよく見える。



オヤマノエンドウやキバナノコマノツメが沢山咲いている。



三つ岳の山頂は巻き気味に進む

イワウメも岩陰にひっそりと咲いている。



また稜線に戻るが花崗岩の岩が多い。

昨日ザックが重くて、ブナ立て尾根に6時間半もかかったと言っていた男性が追い越して行った。

今日は、不要な荷物を烏帽子小屋に預けて身軽になっているのか、軽やかな足取りだ。



三ッ岳はピークが三つあるそうで、何処までが三ッ岳なのか良くわからない。



槍ヶ岳や富士山を見ながら進む。



三ッ岳の山頂を巻いた先で、お花畑コースと展望コースが分かれている。

お花畑コースは残雪のため通行不可となっている。

尾根の展望コースを進む。



野口五郎岳の左には槍ヶ岳、右には水晶岳



振り返ると、立山がだんだん遠くなる。

三ッ岳西峰の岩のオブジェが力強く見える。



赤牛岳はその山肌が赤茶けて、独特の山容をしている。

その向こうに薬師岳が見えている。



水晶岳はまだまだ遠い。

なだらかな稜線の左肩に見えるのは、鷲羽岳だろうか。



槍ヶ岳や水晶岳を野口五郎岳の両側に見ながら、緩やかな稜線を歩くのは最高の気分だ。



のんびり歩いていると、千葉のご夫婦が追いついてきた。



私が写真撮影に夢中になっている間に、ご夫婦は先に進んで行かれた。



ミヤマリンドウが沢山咲いている稜線を、相変わらずのんびり歩いて行く。



小屋まで後500mの表示がある。

今まで歩いてきた稜線を振り返る。



野口五郎岳の五郎は岩ゴロゴロの五郎。

ゴロゴロの岩を越えていくようになる。





何処まで行っても野口五郎小屋が見えない。



ピークの向こうにやっと野口五郎小屋が見えた。

野口五郎小屋までは、少しばかりの下りとなる。



8時36分 野口五郎小屋に着く

烏帽子小屋から4時間15分ほど

標準コースタイムは3時間半位だから、随分とゆっくり歩いてきたことになる。

大天井岳の向こうに富士山が見えている。

ピンバッチを購入して、水晶小屋の混み具合を聞くが良くわからないと言う。

天気が良いと混むことが多いので、今日は混んでいるかもとも。



野口五郎小屋を出発して野口五郎岳を目指す。

15分ほどで着くはず。



振り返って見るとまた素晴らしい。

野口五郎小屋は、稜線から少し外れた窪地に立っていることが解る。



前烏帽子岳にあったのと同じ祠が祀られている。



チングルマが生き生きと咲いている。

チングルマが独特の綿毛になると、山に秋の気配がするようになる。



ハイマツの上にヒグマそっくりの岩がある。



広い稜線を登っていくと野口五郎岳着。

9時3分着

目の前に槍ヶ岳や鷲羽岳がそびえている。



赤茶けたゴリラの背のようにギザギザの硫黄尾

その向こうに堂々とそびえる槍ヶ岳

右には、残雪の多い水晶岳から鷲羽岳へと続く山々



振り返ると、三ッ岳の向こうにゴツゴツの針木岳と柔らかな山容の蓮華岳。

更にその向こうには鹿島槍ヶ岳と五竜岳

針木岳の左奥には、白馬鑓ヶ岳から白馬岳そして旭岳までが一望に見える。



目の前に、堂々とした山塊が横たわっている。

左の赤茶けたピークは、水晶小屋のある赤岳2,900m

右の双耳峰は三等三角点(点名は水晶山)2,978mのある北峰と2,986mの南峰を持つ水晶岳(黒岳)だ。

水晶岳の向こうには、去年行った雲ノ平や祖父岳、黒部五郎岳がある。



水晶岳からは、赤牛岳そして奥黒部ヒュッテ経由で黒部ダムへと読売新道が続いている。

赤牛岳の向こうには、やはり昨年登った薬師岳と雪の残る3つのカールが美しい。



これから歩く裏銀座の山々と西鎌尾根の先に槍ヶ岳

遠くには乗鞍岳も見えている。

乗鞍岳に丁度重なって、少しだけ山頂が見えているのが木曽御嶽山



目の前に広がる絶景に、ついつい見とれてしまう。

登山者が次々と追い抜いていく。



とうとう痺れを切らせた家内が先に山頂を下りだした。

30分ほども山頂にいたことになる。

その間水も弁当も食べずにいた為、しこたま紫外線に焼けてしまった。

所で、水晶小屋は何処にあるのかと目をこらすと、赤茶けた山頂直下にある。



あすこまで登り返さなければならないのかなあ。

ちょっと大変だ。



岩陰にはキバナノコマノツメやタカネツメクサ、チシマギキョウなどが身を寄せ合って咲いている。



眞砂岳は東側を巻いていく。



ワリオ沢の向こうに、硫黄岳から赤岳へと続く赤く焼けた硫黄尾根。

以前、槍ヶ岳から見た朝焼けの硫黄尾根の迫力には感嘆した。

その硫黄尾根の向こうに、堂々とそびえる槍ヶ岳

北鎌尾根も見えている。



湯股温泉に下る竹村新道の分岐に着く。

10時8分

ハクサンイチゲの花園が広がっている。



また足が止まって家内から叱られるが、そう何度も見に来るわけにはいかないので、確りと目に焼き付けておく。





アオのツガザクラやヨツバシオガマが咲き乱れる。



2,833mのピークは左を巻いていくようだ。



シナノキンバイやハクサンフウロも日に輝いている。



コバイケイソウが咲いている。

一昨年の種が池山荘では一斉に咲いていたが、昨年は全く花が咲かなかった。

今年はまた花の当たり年かな。

タカネヤハズハハコのピンクの花も咲き始めている。



ハクサンイチゲの大花園の向こうに槍ヶ岳

写真を写していると、昨夜同室だった男性がやってきて一緒に大撮影会。



湯股川へと落ち込む谷はなだらかで美しい。

まだ雪の残るワリモ沢が硫黄岳の麓まで流れ落ちている。

岩がゴロゴロした歩きにくい道となる。



タカネナナカマドやイワオオギ



益々岩だらけの嫌な道になり、少しだがアップダウンもある。



疲れてちょっと一休み

右には今まで歩いてきた野口五郎岳からの稜線

東沢谷をはさんで、左には赤牛岳と立山。

よく見ると白馬岳も見えている。

東沢谷の奥には黒部湖



野口五郎岳の南西斜面は、綺麗な馬蹄型のカールとなっていて真っ青な五郎池が見える。

憧れていた野口五郎岳をこの方角から見ることが出来て幸せ。



こんなにキツイとは思わなかった。

キツイと言うより歩きにくい。

キツイ太陽に照らされて鉄板焼き状態になってきている。

鼻の頭が焼けてヒリヒリする。

写真を写すのに霧中で水も余り飲まなかったのが拙かった。



越えても越えても岩道が続く。



やっと、水晶小屋が見える所に来た。

まだまだ遙か上にある。



しばらくは歩きやすい道

お地蔵さんが待っていてくれた。



東沢乗越着

12時37分着

なんと烏帽子小屋から8時間以上も掛かっている。

大きな岩塊の積み重なる歩きづらい岩場区間は思ったより時間がかかった。



イブキジャコウソウやミヤマクワガタが色鮮やかだ。

ここらで家内が突然ペースダウン。

調子が悪いらしい。

暑さと高度の所為で時々体調を崩すようだ。

風もなく、気温がドンドン上がってきて、喉ばかりが渇く。



しばらく景色を眺めて休憩。

10年以上前に立山から眺めた、黒部の奥懐に来ることが出来た。

黒部の源流はこの先の鷲羽岳の西にあるが、立山から見て黒部湖から真っ直ぐ南の奥はこの地となる。




ハクサンフウロの花畑もある。



イブキトラノオとコバイケイソウの花園

ハクサンボウフウに似たミヤマゼンコも咲いている。



ミヤマクワガタとミヤマオダマキ



シコタンソウも丁度花の見頃。



夏の雲がわいてきた。

青空に真っ白な雲がわくのは、気持ちが良いほど綺麗だ。



此所を越えればもう岩場はないかな。

大きな岩の横で一休み。

13時16分

朝、烏帽子小屋で写真を写してくれた男性がやってきた。

「朝、4時過ぎに出発してまだこんな所にいるの?9時間も歩いているの?」

私達の鈍足ぶりに驚いたようだ。



まだまだ道は厳しい。

男女のパーティが上からやってきて「これから小屋までは厳しい道が続きますよ」と言って去って行った。

その先に夕べ同室だった男性が寝転がっていた。

「「先ほどの団体に倒れていると間違われた」と言ってまた先に登って行った。



左側が崩壊している場所に来る。

登山道を歩いている限りは何の危険も無い。



イワボタンや珍しいクモマグサも咲いている。



ミヤマオダマキの咲く赤茶けた道を行く。



また一休みして来た道を振り返る。

燕岳から続く表銀座

槍ヶ岳は雲に隠れ始めている。

岩陰で、先ほど追い抜いていった男性と同室だった男性が仲良くカップラーメンを食べていた。

この暑いのに食欲があるなあと驚く。

この後、急な階段道を登り、水晶小屋にたどり着くが何故か写真がない。

暑さでフラフラになりながら14時20分頃に水晶小屋にたどり着く。

烏帽子小屋から10時間かかったことになる。

コースタイムより4時間くらい長く掛かっている。

小屋に入り冷たいスポーツドリンクを買おうとするが、ペットボトルは冷えていない。

クーラーボックスにはビールと缶ジュース等だけ。

仕方なく缶入りサイダーを購入。

一気飲みするが余り冷えていなくて甘い。

チェックインすると今日は5人で3枚の布団の予定だとか。

まあそれくらいなら何とかなるだろう。

部屋は二階の下の段。

上の段は少し広いが下の段は布団を敷くと歩く所もなくピッタシ。

少し横になっていると、折立から黒部五郎、雲ノ平などを回ってきたというご夫婦と単独の女性が同じ段となった。

かなり疲れているが、今日中に水晶岳には行っておきたい。



宿泊者には一人500㎖の水を100円で販売してくれる。

200円で買った1㍑の水をサブザックに入れて出発。

14時51分。

「1時間半もあれば余裕で行って来られますよ」の言葉に送られる。

17時の夕食には間に合うかな?

ウサギギクやタテヤマリンドウも目を引く。

疲れていていちいちカメラを取り出すのが面倒だが、可愛い花たちを見ると写さずには居られない。



小屋から一旦コブの上まで登って緩やかに下って行く。

目の前に黒い水晶岳の頂上が見えている。

千葉のご夫婦がもう水晶岳から帰ってきた。

今日は三俣山荘まで足を伸ばして泊まるそうだ。

皆さん凄いなあ。



眼下に、祖父岳と雲ノ平が見える。

その奥には、黒部五郎岳が美しい姿を見せている。

去年、あの雲ノ平からこの水晶岳を眺めて、何時か登りたいと思ったことを思い出す。

意外に早く夢をかなうことが出来た。



もう岩場は嫌だと思っていたのに、またゴロゴロの岩場が続く。

梯子を越えても、まだその先にピークが有り頂上は見えない。



ピークを回り込んで岩を越えると、やっと頂上が見えてきた。



眼下に雲ノ平

天空の城ラピュタを思い起こすように、深い谷に囲まれてぽっかりと浮いているように見える。

雲ノ平は祖父岳火山の噴火で出来た溶岩台地だ。



雲ノ平山荘が小さく見えている。



同室のご夫婦がやってきた。

岩場は得意のようでビデオを撮影しながらさっさと登って行った。



シコタンソウやタカネイワツメグサが彼方此方に咲いている。



頂上直下の岩場は見かけよりも登りやすい

頂上の岩場は先行者で満員だったので、左の岩場から登る。

赤牛岳への縦走路看板の横に到着。



その先には読売新道に続く赤牛岳への稜線。

赤牛岳の右肩には黒部湖が見える。



山頂がすいたので記念撮影



水晶岳 2,986m 15時52分着



明日歩く予定のワリモ岳と鷲羽岳

その奥には三俣蓮華岳から双六岳



しばらく景色を眺めてから下山。

所が途中でまた家内の調子が悪くなり、小屋の直前の登り返しではかなり苦しそうだった。

17時過ぎにやっと小屋にたどり着くと、丁度食事の用意が出来たばかりだった。

しかし、家内は食卓に着くことも出来ずに、入口横の椅子に座り込んで動けなくなる。

小屋の青年が心配して、食事を後にしてしばらく部屋で休むように勧められる。

30分ほど横になっていると気分が良くなったようで、カレーライスの食事も食べることが出来た。

デザートがとても美味しくて元気が出たと言う。


お礼を言って部屋に帰るが、直ぐ上の段で3人ほどの客を案内してきたというガイドが、甲高い声でしゃべりまくっている。

内容は山のマナーなどだが、自慢が多く聞いていて余り楽しくない。

他の人は静かに寝る体勢になっているのに、と思うが消灯前なので注意も出来ない。

やっと20時になって、小屋の青年が消灯ですよと言ってきて話を止めた。

所がそれから階下に下りて、また大きな声で携帯電話で、来週の何とか観光とのガイドの打ち合わせ。

その後、寝床でライトを付けてガサガサとザックのパッキング。

しゃべりまくる暇があったら、消灯前に明日の準備位していたら!

と思っている内に、睡眠導入剤のおかげで眠りにつく事が出来た。


今日は思いも掛けず、長時間の歩きとなってしまった。

写真の撮影もほどほどにしなければと思う。

(今日一日で700枚ほど撮影していた)

明日は、いよいよ鷲羽岳から双六小屋までの稜線散歩。

もし家内の調子が悪ければ、途中の三俣山荘でもう一泊しても良いかなと思う。





総歩行距離 11㎞

累計標高差 +921m
         -563m

歩行数 24,767歩


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