夏の里山 北アルプス 裏銀座縦走 Ⅲ     2015/07/22
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 水晶小屋 ワリモ岳 鷲羽岳 三俣荘 三俣蓮華岳 丸山 双六岳 双六小屋 -


  前夜 
 Ⅰ 烏帽子岳
 Ⅱ 水晶岳
 Ⅲ  双六岳
 Ⅳ 小池新道



朝、2時過ぎからまた例のガイド達がゴソゴソとし始める。

3時前には出かけていったが、目が覚めてしまった。

まだ出発には早いので庭に出て朝日が出るのを眺める。

4時頃になって明るくなってきて白く光る黒部湖の向こうに白馬岳と旭岳がシルエットで綺麗だ。

烏帽子小屋で同室だった男性がもう出発して行った。

明日は槍ヶ岳まで行く予定だそうだ。

皆さんの話では、槍ヶ岳に行く人、笠ヶ岳に行く人そして黒部五郎から折立へ向かう人が同じ位の割合だ。



出発準備をしてから小屋の前のテーブルでお弁当を食べる。

左の水晶岳が朝日を浴びて綺麗だが烏帽子岳や後立山はまだシルエット。

赤牛岳の上には雲が湧いてきた。



水晶小屋は水の便が悪いのか、500㎖が100円の水は宿泊者にも一本しか売ってくれない。

もうすでに昨日買って飲んでしまったので、ミネラルウォーター500㎖300円を4本買う。

(これは2本で十分だったことを後で知る)

5時24分 水晶小屋出発



目の前に、鷲羽岳が朝日に輝いている。

鷲が羽を広げた様子に似ていると言われているが堂々として美しい山だ。



先行者が気持ちよく歩いている。

天気は最高だが、槍ヶ岳は雲の中に浮かんでいる。



雲ノ平には水晶岳が影を落としているが祖父岳が日が当たってぽっかり浮いているように見える。

北ノ股岳や薬師岳の頂上付近は雲が巻いている。

薬師岳の左奥には富山の町が見えている。



登山道脇には、キバナノコマノツメやイブキジャコウソウが目を覚ましたばかり。



私達も、ワリモ岳に向かって稜線を進む。

今日は、最高の稜線歩きが楽しめそうだ。

家内も、昨日の疲れが回復したのが足取りが軽い。



ワリモ北分岐を通過

此所から右に下ると雲ノ平や高天原に行くことが出来る。



水晶岳の影が下がって、雲ノ平が明るく見えてきた。

薬師岳も雲が引いてその美しい姿を現した。

国の特別天然記念物になっている、大規模な氷河地形の薬師岳圏谷(カール)群がひときわ目を引く。

岩苔小谷は陰っていて見えない。



ワリモ岳に向かって登って行くと、祖父岳が美しい。



ドンドン登って行って、大きな岩の右を通り過ぎる。



岩塊が重なっていて、ワリモ岳頂上の標識がある。

6時34分

少しガスが巻いてきた。



ロープ場があるが、そう緊張する場所ではない。

しかし、注意して通過して、そのまま尾根状の岩場を下りていくとどうもおかしい。

此所が皆さん間違いやすいという場所かな。

少し引き返し、左上へとちょっと巻いて行く。

後は鷲羽岳まで一直線。



振り返るとワリモ岳頂上はイボのように尖っている。



ワリモ岳の頂上付近を見ると私達が間違った所で何人か戸惑っている。

ロープを過ぎてから、尾根状の岩場を下りてしまいがちだが、直ぐ道がなくなる。

南側を巻いてから、ザレ場を下りる道が見える。



鷲羽山頂上手前で振り返ると、ワリモ岳の向こうの水晶岳や野口五郎岳方向は雲が巻いてきた。

どうも天気が不安定になってきているようだ。



小さな岩が転がる道を上り詰めると、鷲羽山山頂に着いた。

7時40分着



「中俣」(三等三角点)2,924mがある。

日本百名山は幾つ目となったのだろうか。



目の前に繋がる三俣蓮華岳から双六岳そして槍ヶ岳の稜線。

しかし残念ながら、槍ヶ岳は完全に雲の中となっている。

雲が晴れないかとしばらく待つが、時間が経つにつれて益々雲が厚くなる。



雲が巻く槍ヶ岳の手前の硫黄尾根を望む所に、鷲羽池がある。

鷲羽岳が12万年前に噴火した時の火口湖だ。

鷲羽池火口東南にある硫黄沢では、最近まで活発な噴気活動があり、その所為で硫黄尾根が茶色になったと言われている。



後立山から野口五郎岳そして水晶岳まではまだクッキリと見えているが、上空の雲は厚くなってきている。



寒くなったので下山開始。

祖父岳の左を巻くように流れている黒部川源流の沢筋には、まだ雪が残っていている。

その向こうには黒部五郎岳、そしてその右の平らな山は北ノ股山

太郎平からの西銀座ダイヤモンドコースも楽しそうだ。



遙か三俣蓮華岳の下に、三俣山荘が小さく見えている。



一気に下るとお花畑となる。



少し登りになってハイマツ帯を進むと、赤い屋根の三俣山荘に着く。

9時19分着



なんと冷たい水が飲み放題。

久しぶりに頭から水を被り顔を洗う。

日焼けで顔がザラザラになっている。

鼻の頭などは半分剥けている。

冷たい水がこんなに美味しいと思ったことはない。

水晶小屋で購入した水はまだ3本以上残っているが捨てて、冷たい水に入れ替える。

小屋でバッジを買ってから登山道の様子を聞く。

「丸山までの道がちょっとキツイが後は問題ないですよ」との事。



気温は18度

昨日よりはかなり気温が下がっているようだ。

テーブルでお弁当の残りを食べていると双六小屋からご夫婦がやってきた。

「双六岳からの下りが雪が多いので気をつけてください。」との事。

アイゼンは持っていないが、足場を切ってあるそうなので大丈夫かな?



山荘を出発すると直ぐに黒部源流との分岐



コバイケイソウが増えてくる。

石の避難小屋があった。



黒部五郎岳との分岐に来ると雪渓が広がっていた。

傾斜が緩やかなのでアイゼン無しでも大丈夫。

此所からは、折立の登山口から槍ヶ岳への西銀座ダイヤモンドコースと交わる。



枯れた沢のような緩やかな道を進む

コバイケイソウが益々多くなる。

去年はサッパリだったが、今年は当たり年かな。



三俣山荘と鷲羽岳を振り返る。

新鮮なキヌガサソウが沢山咲いている。



咲き始めの赤ちゃんのようなコバイケイソウは、クリッとして可愛い。



ハクサンフウロの、鮮やかなピンクが緑の中で映える。

ミヤマゼンコなどのセリ科の花は良く見分けが出来ない。



ツマトリソウも綺麗に咲いている。



ミヤマリンドウとミヤマダイコンソウ

ミヤマリンドウはぼかし染めのような斑があるのでタテヤマリンドウと見分けることが出来る。



コバイケイソウの花園の中を歩いて行くのは、なんて贅沢。



イワカガミやチングルマそしてハクサンイチゲなど咲き誇っている。



鷲羽岳、ワリモ岳そして水晶岳を振り返る。。



コイワカガミ、ハクサンイチゲ



チングルマ コバイケイソウ



コバイケイソウの花園に囲まれて、中々足が進まない。



また雪渓を渡るようになる。

その先にもまた雪渓

いつの間にかガスが巻いてきた。

天候が悪くなってきたのかもしれない。



シナノキンバイも群生している。

天候が悪くなり雨交じりの強風が吹き付ける。

防水のジャケットを着る。



ザレた石ゴロコロを登り切ると、三俣蓮華岳に着いた

11時30分

有名な曲がった頂上標識

山頂はちょっと複雑で、直ぐ下に双六小屋への分岐が有り、その先に三角点がある。



三俣蓮華岳は日本300名山

三等三角点「三ツ又」2,841mがある。

槍穗高連峰から続く主稜線は、此所から立山連峰と後立山連峰とに分岐する。

長野県、岐阜県そして富山県の分水嶺の山でもある



この山域の標識は壊れていて、良く読めない物が多い。

双六岳方向へ向かう。

天気が急速に悪くなり、北西から雨交じりの強風が吹き付ける。

風が強く、ジャケットのフードを深く被り、口の上までジッパーを上げてヒモも絞る。

向こうからやってきたご夫婦が雨支度を始めていた。



タカネヤハズハハコが、ピンクの花を咲かせている。

益々天候が悪くなり視界がなくなる。

私は寒くなって、ジャケットの下にウルトラダウンを着る。

家内のジャケットは、モンベルの防風防水のジャケットなので寒くないと言う。



この下のトラバース道は、高山植物の花園で有名だが雪が多い。

丸山のピークは何時通り過ぎたか解らない。



雨が酷くなってきたのでザックカバーを付ける。

カメラも防水カメラに変える。

それにしても凄い風だ。



チングルマの綿毛が出来ている。

広い稜線が続く。

遠くの視界はないが、幸い道がはっきりしているので迷うことはない。



中道との分岐に着く。

13時7分

男性がやってきて、三俣山荘へはこの道で良いかと聞く。

笠ヶ岳山荘から此所までやって来たという。

私達が双六岳に向かおうとすると、双六岳に登るのかと私達を見る。

ハイと応えると、「双六岳からの下りは雪渓が多くなっているので、気をつけるように」と心配そうに言われた。



クロユリやハクサンチドリなども咲いて喜ばせてくれる。



強風の中を黙々と歩く。



キバナシャクナゲが咲いている。

益々ガスと雨がきつくなる。

当然だがこの悪天気に誰も歩いていない。



岩が多くなると双六岳頂上着

13時41分着



頂上部は平らで広い。

強風が吹き荒れている。



記念撮影してから、下山しようとして下山路を探す。

ハイマツ帯の中を登山道が下りて行っている。



雪渓に入る手前で立ち止まる。

この先はガスで視界はない。

雪渓は広くどちらに向いて下りたら良いか解らない。

傾斜は緩やかなようだがその先は解らない。

GPSで確認しながら下りれば大丈夫かもしれないが、もし間違った方向に下りると取り返しが付かない。

先ほどの男性の言葉が頭をよぎる。

思い切って引き返すことにする。

山頂まで帰り、結構時間を掛けて分岐まで引き返す。



分岐から中道を行くと、噂通りの花街道

クロユリが直ぐ近くに沢山咲いている。



咲き始めのコバイケイソウの花園

もう少しすると凄い迫力の花園となるだろう。



クロユリが多い



ショウジョウバカマも、溶け始めた雪渓の脇に咲いている。



双六岳の頂上方向を見上げると、広い雪渓が残っている。



だらだらと登り返すと、双六岳の登り口が有った。



見上げるとけ雪渓の間に岩が見える。

あの岩を伝って登るのだろうか。

中道分岐に着く。



本来の登山道は通行禁止になっていた。

無理に下りないで引き返して良かった。

通常の登山道と違う臨時の道は、視界が悪い時は間違いやすい。



少し下ると、三俣蓮華岳からの巻き道と出会う。

これから結構急坂を一気に下る。



ゴゼンタチバナやツマトリソウが多い。



やっとの事で双六小屋に着く

広い広場やテーブル席には、殆ど人が居ない。

大きな歓声があがって、男性がやってきて椅子に座り込んだ。

大変な思いで駆け下りてきたという。



15時56分 双六小屋着

今日も、予想以上の時間が掛かってしまった。

でも、暴風雨の中無事到着することが出来て良かった。



双六小屋は、確りとした造りで大きい。

部屋も、ガラス戸で確りと分けられている。

20人以上泊まることが出来る部屋に通されるが、私達二人だけ。

普通混んでいなくても一つの部屋に詰めていくのだが、この小屋では空いている部屋を順に利用するようだ。

ビールを買ってのんびり飲もうと思ったが、部屋は飲食禁止。

広場のテーブルでは寒くてゆっくり飲めなかった。

17時から夕食。

全員で20名位。



天ぷらが美味しかった。

大柄な外国人が、正座してご飯を食べているのがほほえましかった。

食後、日本酒でも買おうと思ったが受付はひっそりしている。

諦めて部屋に帰り、消灯は21時だったが静かで18時には熟睡してしまった。

一旦消えた台風12号がやってきていると言う。

明日の天気は大丈夫だろうか。

大雨で、新穗高温泉への道が通れないことはないだろうか。





総歩行距離 12.5㎞

累計標高差 +1,114m
        -1,458m

総歩行数 22,237歩


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